「千夜一夜物語」(1969)

57点57
“大人のための(劇場用)アニメーション“の製作を目指した手塚治虫が、“アニメラマ“と銘打ってそれを実現した第1作。バクダッドの水売り商人・アルディンがたどる数奇な運命を描いたもので、題材となった古典『千夜一夜物語』から“船乗りシンドバッドの冒険“、“アリババと40人の盗賊“などが引用され、自由奔放な物語を構成している。やなせたかしが手掛けたメイン・キャラクターのデザイン、アニメならではの官能シーンの描写、さらに声の主演に青島幸男を据えての、プレスコ方式による絵作りなど、意欲的な試みが多くなされた。なかでも遠藤周作、筒井康隆、大橋巨泉ら著名人に依頼しての“ひと声だけ“の出演がユニーク。アニメ映画作りに懸けた、手塚治虫の意気込みが伝わってくるような冒険ファンタジー。ただ多くの要素を詰めこみすぎて、全体に散漫な印象が残る。

あらすじ

バクダッドの水売り商人アルディンは奴隷市で売られている女奴隷に魅せられた。彼女の名前はミリアム。そのミリアムをせり落したのは、バクダッドの警視総監の放蕩息子だった。アルディンは金のない悲しさ、茫然と見守るよりなかった。その時、大旋風が起こった。アルディンは、絶好のチャンスとばかりミリアムをさらった。しかし、王の座を狙う捕吏バドリーは四十人の盗賊を使って二人を捕えた。アルディンは監獄にぶち込まれ、ミリアムは、警視総監のドラ息子のもとへ送られた。ところが、彼は嬉しさのあまり階段から落ちてあえない最後をとげた。一方、アルディンは監獄の看守長の手助けにより脱獄。早速ミリアムを探し求めたが、時すでに遅く世を去っていた。アルディンは、憎いバドリーを追って、四十人の盗賊がいる山塞に来た。アルディンは、金銀財宝を持ち出そうとした。だが、盗賊の首領カマーキムの娘マーディアに発見されてしまった。ところが、マーディアはアルディンの陽気さに好感をもち財産を持って山塞を脱け出した。二人が飛来したのは女護が島たった。マーディアは女人禁制から追いだされ、残ったアルディンは快楽の日々を送った。好奇心の強いアルディンは、ある日禁断の扉を覗いた。驚いたことには、大蛇に変身した女王が彼を狙っていた。アルディンが次に辿りついたのは無人島だった。そして、彼が食人鬼に捕われかかった時、空をおおわんばかりの怪鳥が現われ凄絶な格闘を展開した。やがて、彼は巨万の富を積んだ難破船を発見、一躍大金持になった。年月が流れ、ミリアムが生んだ女の子ジャリスが黒の都の羊飼アスラーンを恋するようになった。彼女は恋しさのあまり男装をして、黒の都を訪れた。ところが、王は彼女を男と間違え、アルヌフス姫と結婚させてしまった。王子になったジャリスが、ある日領内でアスラーンと再会した。二人は黒の都を脱出、時を同じくして船乗りのシンドバッドもバクダッドを目指していた。シンドバッドの一隊がオアシスにテントを張った時、四十人の盗賊が彼らを襲った。ところが盗賊たちはバドリーの指揮する守備隊に殺されてしまった。それは狡猾なバドリーが大富豪シンドバッドに近づこうと仕掛けた罠だった。ところが、バドリーはシンドバッドがアルディンであること知って驚いた。やがて、シンドバッドはその財力で王位についた。バドリーは忠実な都下を装っていたか、策略をめぐらしていた。彼によってアスラーンとの仲をさかれたジャリスは、シンドバッドのハレムに参上した。バドリーは早速二人の近親相姦を発表した。ところが一緒に寝たのは魔女神ジニー。やがて、悪事の露見したバドリーはマーディアの矢を受けて死んだ。王座は、シンドバッドにとって何も得るものがなかった。もとのアルディンに戻ったシンドバッドは新たなる希望に燃え旅発っていった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1969年
製作国 日本
配給 虫プロダクション
上映時間 128
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