「座頭市物語」(1962)

【DVD発売中】

83点83
子母沢寛の随筆集『ふところ手帖』に収められた短いエピソードである座頭の市の話をもとに、犬塚稔脚色・三隅研次監督・勝新太郎主演で映画化した大ヒット・シリーズの第1作。ツボ振りでも居合い抜きでも目明きの及ばぬすご腕の座頭市は、飯岡助五郎の客分となる。市は釣りで知り合った肺病やみの浪人・平手造酒に友情を感じるが、平手は助五郎と犬猿の中の笹川繁造の食客であった。やがて運命の糸は市と平手を対決に導く……。のちにはスーパーマンになってしまう座頭市だが、この作品では冒頭、市が丸木橋をヘッピリ腰で渡るシーンに代表されるように、盲目という致命的なハンデが随所に示され、市の世をすねて生きているアウトロー性を強調。三隅研次の淡々とした中にもメリハリの利いた演出が、見事に成功した。座頭市に扮した勝新太郎の好演はいうまでもないが、それ以上に素晴らしいのが平手造酒を演じる天知茂で、新東宝時代に養ってきたニヒルな持ち味を十二分に発揮した名演技であった。

あらすじ

下総飯岡の貸元助五郎の所へ草鞋を脱いだ異風なやくざは、坊主で盲目で人呼んで座頭市。ツボ振りでも居合抜きでも目明きの及ばぬ市の腕を見込んだ助五郎は、彼を客分扱いにし乾分蓼吉を世話係につけた。やくざ嫌いでやくざの飯を食う市は、釣で逢った病身の浪人平手造酒と心をふれ合う思いをしたが、その造酒は助五郎とは犬猿の仲の笹川親分の食客となった。助五郎は新興勢力の笹川一家を叩き潰す機会を狙っているが、その時は市と造酒の面白い勝負が見られると乾分たちにうそぶいた。その頃、身投げしたか落されたか蓼吉の女お咲が水死体となって溜池に浮かんだ。何気なくそこを訪れた市は再び造酒と逢い、その夜二人は酒をくみかわした。お互いに相手の剣に興味を持ったが、やくざの喧嘩に巻込まれて斬り合うのは御免だと笑い合った。この時造酒を訪れた笹川の繁造は、市が飯岡の客分と知り乾分に市を斬るよう命じた。帰り途、市を襲った乾分は市の刀に一たまりもなかった。市の腕前に驚いた繁造は、造酒に喧嘩の助勢を頼んだが造酒は頭から断った。一方、市は昨夜の答礼に酒を贈ろうと思い蓼吉にその使いを頼んだが、代りに行った弟分の猪助は間もなく無惨な死体となって飯岡の鉄火場で発見された。笹川は、この機会を利用して喧嘩を売る決意をしたがそんな時、造酒が血を吐いて倒れてしまった。それを知った助五郎は好機到来とばかり喧嘩支度にかかった。笹川の繁造は、飯岡勢を笹川宿場の迷路へさそい込み座頭市は鉄砲でうちとる策略を立てた。それを知った病床の造酒は鉄砲をうつことだけはやめてくれ、その代り自分が働くと繁造に頼むのだった。そこへ造酒を訪ねた市は、彼が友情のため死を決して喧嘩に加わったことを知った。笹川の作戦は功を奏し飯岡方は苦戦に陥った。血をはきながら斬りまくる造酒。その行手には座頭市が立っていた。ついに二人の宿命的な対決の時が来たのであった。座頭市の剣に造酒は倒れた。座頭市は彼を慕うおたねと共に下総を去っていくのだった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1962年
製作国 日本
配給 大映=大映京都
上映時間 96
チケット 前売りチケットを購入する