「私が棄てた女」(1969)

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100点100
遠藤周作の人気小説の映画化。監督は「非行少女」以来5年ぶりとなった浦山桐郎。自動車部品の会社に勤めるしがないサラリーマンは、出世のため愛してもいない専務の姪と結婚しようとしている。そんな時、かつて遊んで捨てた女が自分の子を中絶し、苦しい生活をしているのを知る。彼は責任を感じるが……。愛とは何か、人生とは何かを考えさせられる叙情的な作品。圧巻は、全編モノクロームの中で、女が悲しく新相馬節を歌うシーンのカラー映像。緑の草原を駆ける馬たちの姿がスローモーションでかぶさる。

あらすじ

自動車の部品会社に勤める吉岡努は、専務の姪のマリ子との結婚を控えていたが楽しくはなかった。かつては学生運動に青春を燃やした自分が、いまは刹那的な快楽と利益を追う並みの人間の一人になっているのを自覚していたからだ。ある夜、努は旧友の長島らとクラブの女を抱いた。その女から努はミツの噂を聞いて愕然とした−−。彼女は努が学生時代に遊び相手として見つけた女工だった。愛情もなく、肉体だけのつながり、将来への希望もない中で努が肉体だけを楽しむだけ楽しんだ上、海岸におきざりにして逃げてきた女、それがミツだった。下宿も変えた努に、ミツが子供を中絶したことなど知る由もなかった。こうしてミツとの関係を断ってから、努は今の会社に勤め、マリ子から愛された。社長一家との顔合せの宴で努はしたたか泥酔したが、それでもマリ子の愛は変らなかった。しかし、努の心には、ミツを無残に見捨てたことへの慚愧の思いがあったのだ。とにかく、努はマリ子と盛大な結婚式を挙げた。一方、ミツはその頃、借金をかかえて失意の日を送っていたが、女工時代からの仲間しま子から努の結婚のニュースを聞いた。それでも彼女は努との思い出を大事にしているのだった。ミツはひょんなことから知り合ったキネ婆さんと八郎母子の家に転がり込んでいた。その頃、努は郊外のアパートに新店を構えたが、何かしっくりゆかなかった。ある日、努は業者の接待にきたホステスのしま子からミツの近況を聞き、数年ぶりにミツに会った。いつか二人は結ばれたが、その様子をしま子の情夫武隈が撮影していた。やがてマリ子の許にかつて努がミツに送ったラブレターが送られてきた。かねてから不審に思っていたマリ子は、養老院で働くミツを訪ね、手切金をつきつけたが、手紙はしま子の仕業だったのだ。それに気づいたミツはしま子から写真のネガを奪って焼いた。そして怒る武隈から逃げようとして外にとび出したミツは、車にはねられ、ボロクズのように死んでいった。努は彼女の死を知って、始めてミツを、本当に愛していたことを知った。しかし、努は、再び平穏に戻ったマリ子との生活の中で、愛を生むこともなく、ただ虚無感をかかえながら生きて行くだろう、ということもまた、十分に自覚していたのだった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1969年
製作国 日本
配給 日活
上映時間 116
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