「安城家の舞踏会」(1947)

【DVD発売中】

72点72
安城家は、代々の名門華族。だが第二次大戦終結とともに、他の華族同様、没落の憂き目にさらされていた。家は抵当に入れられ、かつてこの家のお抱え運転手であった現運送会社社長からは令嬢・昭子に堂々と求愛される始末。これまでの価値観ではまったく通用しない時代がやってきたのである。そんな安城家の最後の舞踏会を通じて、180度違う新たな時代の到来を描いた、吉村公三郎の代表作。新藤兼人の脚本を得て、吉村は決定的な名声を確立する。全体にどこか日本離れした設定は、新藤が底辺にチェーホフの『桜の園』を利用したため。しかし、それがいささかも非現実的ドラマに陥らなかった点に、彼の真価があるといえよう。

あらすじ

皇族までが漬物屋を始めるという御時世に華族の没落はいうまでもない。華族の中で名門をうたわれた安城家もその例にもれず、今迄通りの生活をするために全てのものを手放し、今や抵当に入れた家屋敷まで手放す時が来た。彼等の言葉を借りていえば「まるで嘘のように無くなり、夢のように消えて行く」のである。その夢のように消えて行く華族安城家の最後を記念するために舞踏会を催したが、その舞踏会の裏には安城家最後の種種なあがきがあった。安城家の当主忠彦は家を抵当にインチキヤミ会社の社長新川から金を借りていたが華族生活から脱けきれないままに、今やギリギリのところまで来たが、やはり家を手放すことが惜しく新川を招いて最後の哀願をするが新川は肯じないだけでなく、自分の娘曜子と安城家の長男正彦との婚約も解消すると言い出した。それを立聞きした正彦は、新川を憎むあまりに、何も知らずに正彦を慕う曜子に残忍な復讐をする。やがて夜が更けて客も帰り安城家は無気味な迄に静まり返った。今日を限りに伯爵安城家の凡てが夢のごとく消えて行くという寂しさは、年老いた忠彦には堪える事が出来ず、彼は自分のノドにピストルを当てるのだった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1947年
製作国 日本
配給 松竹=松竹大船
上映時間 90
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