「日本一短い「母」への手紙」(1995)

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母親への様々な思いを込めた手紙を1冊の本にまとめた、同名のベストセラーを映画化。秀作の中の1編で30字の短い手紙をモチーフに、一つの家族のドラマを描く。18年前に両親が離婚。母親は家族を捨て男の元へと走り、服飾デザイナーの真紀と大学生の宏の姉弟は男手一つで育てられた。そんな生活を送る中、父親が急死。真紀は自分の気持ちをワープロに綴り、それを見た宏はこの手紙を“日本一短い「母」への手紙コンテスト“に応募。そして、作品が秀作に選ばれたのを機に宏は母親探しを始める……。

あらすじ

長野の装飾デザイン会社で働く前原真紀とその弟で大学生の宏は、建設会社で働く父・道夫のもとで、母が18年前に去ってから三人で暮らしてきた。母の多恵は18年前に家族を捨てて別の男のもとへ走ったのだ。父はその後も恨み言ひとつ口に出さずにいたが、母に対してどんな気持ちを抱いているのか、真紀はそんな思いにとらわれていた。そんな折り、父が心臓発作で急死してしまう。父の四十九日の報せを作りながら、いつしか真紀はワープロに向かって自分の気持ちを打ち込んでいた。「あの人と幸せでしょうか、お母さん。父さんは無口を通し逝きました」というたった二行の短いフレーズに母への思いを込めて。偶然、この文章に気づいた宏は、真紀に内緒で“日本一短い「母」への手紙”コンテストに、それを応募してみることを思いついた。真紀の文章は秀作に選ばれ、それをきっかけに宏は別れた母を探し始める。ついに探し当てた母・多恵は、銀座でクラブのママをしていた。宏は不思議なほど18年の空白を感じていなかった。多恵と宏は、母と息子として水入らずの時を過ごしたのである。そんなある日、東京での宏の様子を見に松本からやって来た真紀が、宏のアパートで多恵と鉢合わせしてしまった。真紀は驚きと怒りで多恵をひどくなじる。18年前に家族を捨てたことに対する憎しみの言葉を浴びせられ、多恵には返す言葉もなかった。宏は多恵に一緒に暮らそうと提案するが、多恵はそれを断り、シンガポールで独り出直す決心を固めた。そんな矢先、宏が交通事故に遭って入院した。事故の知らせを聞いた真紀は、会社の上司でもある坂田とともに上京する。その病院で真紀と多恵は再び出会うが、二人は言い争うしかできない。幸い宏は大事に至らず、多恵は黙って夜の病院から去っていこうとしていた。頑なだった真紀は好意を抱いている坂田に諭され、その言葉でようやく素直になる。真紀は多恵を追いかけて、「私、ずっとお母さんが欲しかった」と18年の思いのたけをぶつけると、泣きながらきつく抱き合うのだった。その翌日、シンガポールへ向かう多恵を乗せた飛行機は、晴れわたる青空の中に静かに溶けていった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1995年
製作国 日本
配給 東映
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