「カインの末裔」(2006)

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77点77
舞台の映像演出などを手掛ける気鋭・奥秀太郎監督が、小説家・有島武郎の世界観に衝撃を受け、舞台を現代に置き換えて映画化。15歳で母親を殺害し、医療少年院で孤独な10年間を過ごした男と周囲の人間の関係を通して、平凡な人生に漂う絶望的な悲しみを描き出す。主演は奥監督と同世代で、『19』などで知られる映画監督・渡辺一志が努める。

あらすじ

戦後日本の繁栄を支えた京浜工業地帯の中心都市・川崎を象徴する町<夜光>。15歳で母親殺しという許されない罪を犯した男、棟方(渡辺一志)は、医療少年院を出て、この町にたどり着く。精密機械の試作品を製造する小さな工場「国際電子工業」に拾われ、住み込みで働くことになる。自分らしく生きる自由な生活が始まる…。そんな淡い期待は翌日から打ち砕かれる。塵と埃にまみれ、ハンダ付けの煙が充満する工場は、上司である毛(古田新太)の下品な笑い声が虚しく響き渡るばかり。薄汚れた工場と、映りの悪いテレビしかない狭い部屋との往復。待ちに待っていた新しい生活は、感動も刺激もない、ただ平坦な日々だった。そんなある日、一人の少女ゆかり(楊サチエ)が部屋を訪ねてくる。「マルテル会・準川崎福音教会」と名乗る怪しげな教会をこの地で開く牧師松村(田口トモロヲ)の娘だ。ゆかりは、「コミュニケーションを取りたいんです」と屈託ない笑顔で話し掛け、仲間が集まる日曜学校へと誘う。一方、父親の松村からはテレビの旧型テレビリモコンをピストルに改造する秘密の仕事を依頼され、棟方はおそるおそる引き受ける。改造に必要なパーツを扱う田村工業を訪ねると、国際電子工業と以前から因縁のある店主の田村(岸建太朗)に不良品を持たされ、怒った松村からは作り直しを命じられる。大人同士の激しい対立に戸惑う棟方。優しく見守る田村の妻・和江(内田春菊)の計らいで、なんとか新しいパーツを手に入れる。リモコン銃の製造が軌道に乗ると同時に、遠い日の母親の記憶が重なる和江と棟方の関係も深まっていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。棟方の脳裏には、10年前に犯した許されない罪の肌触りと、医療少年院で受けた説教師(今奈良孝行)の言葉がフラッシュバックし始める。そして工場の経営者大森(飯田孝男)の死をきっかけに、残酷な現実が次々とピストルのように棟方に突きつけられていく。 夜光の不穏な曇り空。それは人間が犯した罪を覆い隠そうとしているようで、生きながらえた命の欠片を静かに包み込んでいくようでもある。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 2006年
製作国 日本
配給 NEGA
ヘッド館 シアター・イメージフォーラム他
上映時間 90
公開日 2007年2月24日(土)公開
カテゴリ 人間ドラマ
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