「悲愁物語」(1977)

68点68
異才・鈴木清順が、“わけのわからない映画を撮る監督はいらない“と日活を追い出されて以来、実に10年振りにスクリーンに復活した作品。しかし、一般の客のみならず、鈴木清順復活を待ち望んでいたファンの頭をもかしげさせるような、いわゆる“失敗作“の烙印を押されてしまい、興行的にも惨胆たるものであった。CFのモデルとしてデビューし、成功の道を駆け上がっていく女子プロゴルファーの栄光と破滅を描いた、故・梶原一騎原作による物語。ガラスを使ったり、原色を多く用いたセットには、10年の隔たりを感じさせない清順美学が貫かれている。

あらすじ

女子体操競技で世界中を熱狂させたチェブルスカをライバル社の極東レーヨンにさらわれた日栄レーヨン社長の井上は、対抗馬のタレント発見を急ぐよう命令する。企画室長の森や広告代理店の田所は、若くてプロポーション抜群のプロゴルファー・桜庭れい子の起用を決定。れい子をまずなんと言っても、女子プロゴルフ界のチャンピオンにしなければと、雑誌「パワーゴルフ」の編集長でれい子の恋人でもある三宅に特訓をたのむ。れい子のハード・トレーニングが昼夜続き、れい子はその特訓に耐え、全日本女子プロゴルフ選手権に優勝。れい子の人気は、爆発し、日栄レーヨンのポスターは店頭からまたたくまになくなった。れい子は、日栄レーヨンと専属タレント契約を結び、五千万円を手にする。れい子は、弟といっしょに郊外に大邸宅を構え、テレビのホステスにも起用された。しかし、れい子の家の近所の主婦たちの憧れは、しだいにドス黒い嫉妬へと変っていった。多忙なれい子の唯一の心のやすらぎは、三宅の胸に抱かれている時だけであった。そんなある日、三宅とれい子の乗った車に近所の主婦、仙波加世ははねられてしまった。実は、れい子に嫉妬した加世が自分から車に飛び込んだのだが、二人はそうとは知らずその場を逃げてしまった。罪の意識におののくれい子の前に加世が現れ、彼女は大スターであるれい子の弱味をにぎったせいか、それ以来、れい子をメイドのように酷使した。あろうことかそのうえ、加世はれい子に自分の亭主に抱かれることを命じた。それを知ったれい子の弟・純の怒りが爆発した。純のナイフが、加世の背中から胸を貫いた。そして、寝室にとびこんだ純は、血まみれのナイフをれい子の乳房に突き刺した。れい子の美しい死顔には、何故かやすらぎが漂っていた。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1977年
製作国 日本
配給 松竹=三協映画
上映時間 93
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