「百万弗を叩き出せ」(1961)

60点60
同じ夢を抱きながらも、違った運命に引き裂かれていく二人の青年を描く鈴木清順監督のボクシング映画。チャンピオンを目指す二人に和田浩治と野呂圭介。ボクシングに憑かれた貧乏ジムの経営者兼トレーナーに金子信雄が扮し、好演している。栄光と転落が背中合わせのボクサー物語の定型を押えつつ、そこに時代のうっ屈した気分をも塗り込めてしまう、清順流プログラム・ピクチャーの真骨頂。

あらすじ

幼馴染の三井と下山は、ボクシング・チャンピオンを夢みて故郷の小さな島をあとにした。東京へ出た二人は伊庭組の千田と知り合った。伊庭組はジムも経営するヤクザである。下山はそのまま伊庭組に残ることになったが、三井は伊庭組の興業組織におよそスポーツとはかけ離れた雰囲気を感じ、そこを飛び出した。街で三井の目にとまったのは、ボクシング練習生募集のポスターだった。そのポスターには新進ボクサー飯野の写真が載っている。三井が訪ねた原口クラブはオンボロだが、希望に燃える三井の目には輝かしいジムに映った。居候の練習生になった三井は必死の練習を続け、原口もその熱心さにすっかり惚れ込んだ。ある日、愛弟子の飯野が原口を裏切り、設備のいい大洋拳に去った。原口は三井の肩を叩いて“飯野の代りに頑張ってくれ”と頼むのだった。それ以来、三井は死に物狂いに練習を重ねた。選手資格試験に合格後、三井にとって初めての試合が行なわれた。相手は奇しくも下山で、夢中で三井は戦った。気がついたときは下山をノックアウトしていた。だが、三井にも悩みはあった。それは自分が左利きであることだ。下山は三井を慰めるため、夜の歓楽街に誘った。酒に酔った三井を介抱してくれたのは女給の芳子である。原口のもとを去った飯野の活躍は目ざましく、全日本ウェルター級のチャンピオンとなっていた。ある日、下山が飯野を襲ったという記事をみて、三井は警察に駆けつけた。下山の身を案じる芳子もきていた。下山を乗せた護送車が闇に消えると、ガード下で三井と芳子は抱き合った。その後、釈放された下山は血まみれになって、三井のところへきたが「オレの分も……」といってこと切れた。やがて三井は飯野のもつ選手権に挑戦する日がきた。最終ラウンド、凄壮な熱戦のすえ、三井の右ストレートに倒れた飯野はついに立ち上ることができなかった。数日後、世界チャンピオンを目指して三井は羽田を飛び立った。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1961年
製作国 日本
配給 日活
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