「幽閉者〈テロリスト〉」(2006)

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54点54
大島渚らと60年代を駆け抜け、『赤軍-PFLP・世界戦争宣言』などの問題作で知られる伝説の映画監督・足立正生。’74年のパレスチナ革命にも参加した彼の35年ぶりの監督作は、リッダ空港事件の主犯格、岡本公三をモデルに、獄中での幽閉生活の中で自分自身と向き合う人間の姿を通して現代の闘争を提示した野心作だ。主演の田口トモロヲを始め、豪華異色の出演陣も話題。

あらすじ

空港襲撃作戦メンバーのM(田口トモロヲ)。林檎の木の下、ゲリラ基地の仲間たちと肩を抱き合い別れを告げる。Mは、仲間とともにオリオンの三ッ星になることを誓い、自爆攻撃を決行した。空港襲撃作戦は成功するが、Mの手榴弾だけが不発。仲間は自決し、この地獄の現実に、ひとりMだけが取り残されてしまう。捕らえられたMを保安隊員たちが襲う。死に損ねた悔しさに、死を望むMだが、保安情報部の中尉らはMを、精神的、肉体的に痛めつけ、次の作戦計画を吐かせようとしていた。『なぜだ! なぜ俺だけ生き残ってしまったんだ!』独房の中のMは、悔しさに叫び続ける。『殺せ、殺せ、殺してくれ!』軍事法廷にかけられるM。「弁護は不要、自ら死刑を望む」「俺たちは自爆してオリオンの三ッ星になるはずだった!」とMは叫ぶ。しかし、彼に下された判決は、無期刑。次の作戦計画を自供すれば、死を許すという保安隊員らの言葉を信じ、Mは、自白してしまう。そして、渡されたピストルをこめかみにつけ、Mは息を飲み、自決した二人の後を追おうとする。だが、そのピストルに、銃弾は込められていなかった…。俺はいつもすぐに信用してしまうんだ。自分の愚かさを責めるM。犬のように飼育され、人体実験の注射が繰り返される。独房、水攻め、糞尿地獄…。彼らは、それを“豚の飼育”と呼んだ。独房に次々と訪れるMの破壊者たち。破壊することを楽しむ彼らに、狂気を装って抵抗するM。ポツンポツン…と真っ暗な狭い箱の中で、水滴の拷問が繰り返される。それが、次第に脳をかち割る轟音となり、反復するリズムとともに、自分の原点、情けなかった少年時代の記憶がよみがえってくる。繰り返されるリズムとともに狂気に満ちていくMの前にあらわれるのは、宗教の導師、過去に幽閉された革命家たち、肖像人物(PANTA)、真面目屋(梶原譲二)、マフラー男(大久保鷹)の幻影。彼らはMに、“君は君自身だということ。”“自分の原点に還れ”と助言する。加速していく“豚の飼育”の中で、Mは、従順になることをおぼえる。マゾヒズムを装い、そして、実行する。果たして、それは本当にMの装いなのか、それとも…。Mは、自分が自分であることとは何か、この装いと繰り返す自問は俺自身の存在を確かめることなのか、自分をめぐる問いかけの中で、徐々に混乱していく。Mの独房には、痩せの囚人(山本浩司)が送り込まれ、Mの調教と観察をする。犬のように振舞うM。だが、狂気に満ちたMの前に出された林檎が、ひとすじの光をもたらす! 狂気と幻想の中で、Mは自問を繰り返す。だが、怒りと悔しさとともに、否応無く記憶は遠のいてゆく。そして、破壊されかけたMの精神と肉体は、ついに、本当の狂気へと足を踏み入れてゆく。ある時、檻の鍵が開けられていた。Mは、長い長い廊下を進み、一気に外の空気を求めて突き進む。気がつくと、Mの後ろには大勢の囚人たち。彼らとともに、精一杯走り続ける。歓喜に満ち、走り続けるM。だが、また牢屋の前に戻ってきてしまった。これは、隊員たちの企みなのか、それとも、Mの幻影だったのか……。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 2006年
製作国 日本
配給 スローラーナー
ヘッド館 ユーロスペース
上映時間 113
公開日 2007年2月3日(土)公開
カテゴリ 人間ドラマ
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