「背徳のメス」(1961)

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黒岩重吾の直木賞受賞作を野村芳太郎監督が演出したサスペンス・ドラマ。宗教団体の資金で運営されている大阪の病院を舞台に、金と欲望にまみれた人間たちが、互いに殺意を抱きながら生きていく姿を赤裸々に描いていく。田村高廣が「白い巨塔」と正反対の役柄で、女に溺れ汚れきった医師を演じている。

あらすじ

大阪の阿倍野病院は、宗教団体の資金で運営されており、設備も悪く、患者も質が悪かった。産婦人科の医師植は、女癖が悪く、看護婦の妙子、景子など何人もの女と関係をもっていたが、仕事には熱心だった。科長の西沢は、金にならない患者には冷たく、自然植とは仲が悪かった。植の女あさりは、別れた妻に原因があった。戦後ある大病院に勤めた彼は院長の姪と結婚したのだが、妻の妊娠中、自分のスペルマを調べて驚いた。彼の体には子供をつくる能力がなかったからだ。植は裏切った妻の許をとびだした。ある日、パン助の光子が掻爬にきた。植は発育不良の体質から手術は明日にした方がと西沢に言ったが、西沢は直ちに手術をした。出血多量で死んだ。女には安井というヒモがついていたので、二百万の慰謝料をゆすられた。西沢は警察に訴えようとするが、それには植の証言が必要だ。植はハネつけた。病院の創立記念日、飲んで歌っての大騒ぎとなった。植も酔って宿直室で寝てしまうが、ガス中毒に−−幸い景子が発見し危く命をとりとめた。植は犯人を探しだす決意をした。植にうらみを抱く人間は数人いた。まず西沢、彼も酔って宿直室に泊っていた。薬剤師の伊津子、彼女は植に暴力で犯されていた。次は伊津子を慕っている薬の剤師斎賀、植と伊津子のイキサツを知っていたからである。第四は看護婦の妙子、植のスキを見て金を盗んでいる。植は彼らを調べたが、キメ手がなかった。そんな時、植は西沢の罠にかかった。急患の手術を植に命じ、植は手術をしたが手遅れの状態だったので死んだ。これでお前も患者を殺したのだから同一条件だというのだ。植はここでもう一人、常に西沢につきそっている信子を調べなければならないのに気づいた。西沢と宿直日が一緒だったり、その日にはオールドミスの彼女が薄化粧をしたり、ガス事件の日も宿直だったり、調べると疑わしい点があったのだ。やがて、犯人の分る日がきた。クリスマス・パーティの時、信子が西沢に薬を飲ませて無理心中をしたのだ。植を殺そうとしたのは、西沢の心をひきとめようとしたためだった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1961年
製作国 日本
配給 松竹京都
上映時間 88
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