「やさしいにっぽん人」(1971)

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東陽一監督のデビュー初期の代表作。沖縄・慶良間列島の集団自決を生きのびたものの、今はそのことを何も覚えていない青年が、真の“ことば“を求めて旅を続ける姿を描く。いずれも個性的な俳優たちの奇妙な存在感が印象に残る。

あらすじ

深い霧の様に閉ざされた情況の中を疾走するには、あまりにノロすぎるオートバイで虐殺の島、渡嘉敷からそのヘソの緒を後生大事にひきずりゆく男シャカ。故郷に言葉を置き去りにしてきた謝花治は、すでに国家や他者を切り裂く言葉を持たない。引用野郎と呼ばれながらも、ひたすら他人の言葉をしゃべり続け彼の奥深く、何かが沈殿してゆく。ジュラルミンの楯の不気味な程鋭角的響きと、軍靴の音が肌に伝わる日本列島の中で、彼の仲間達はアモルフな情念に全てを託す。ヒタヒタと気味悪く、しかも確実に押し寄せるみえざるものの前に、言葉は、映像はからめ取られた自由に過ぎないのか。堺は、言葉を機関銃のようにぶっぱなし、それを〈暴力〉にまで昇華させようと夢みる。小西はひたすら沈黙の言葉を拾う。もはや悲劇としては何も語り得ない。突然シャカをぶんなぐる警官達。殺人には必ず理由をつけたし、自分を納得させる人々。悲劇のないのが現代なのかもしれない。あるのは真剣な冗談。人々はそこにふとやさしさと闘いを見ることがある。ただそれだけだ。シャカはどうしようもなくダメな奴なのか、それとも彼こそが情況を、その奥深いところで切り裂く武器を磨ぎ冴ましているのか。とにかくシャカは出発する。どこへともなく。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1971年
製作国 日本
上映時間 118
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