「妻」(1953)

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巨匠・成瀬巳喜男監督による「めし」「稲妻」に続く3度目の林文学の映画化。短編小説『茶色の目』を原作に、結婚10年になる平凡なサラリーマンの冷えきった夫婦生活を描く。華麗な令嬢役で名高い高峰が醜悪な妻を熱演、それを受ける上原の抑えた演技も見事。

あらすじ

会社では一応課長で通る中川も、内実、肩書きとはうらはらの安月給に悩んでいる。二階は間借り人に占領され、細君美種子は毛糸編みの内職にはげむ−−そんな貧寒な生活が結婚十年目の彼ら夫婦の間を、いつか感激のないものに色替えしてしまった。バア勤めの妻栄子にやしなわれている夫浩久の不甲斐なさが因で、日夜もめ通す二階の松山夫婦を、二人はもうよそごとに眺められなかった。中川は冷たい散文的な妻とひきかえ、乏しいなかから生活を楽しむことを知っている社のタイピスト、未亡人の相良房子に惹かれる。音楽、絵画。……彼らは静かな喫茶店や美術館であいびきともつかぬ交渉を重ねた。あやうく自制した房子は愛児とともに大阪へ引きうつる。が、社用で中川が来阪すると知れば、会わずにいられず、結局その夜、二人の関係は最後のところへまで進んだ。帰京後、洋服のポケットから出たマッチやら名刺やらでそれと感づいた美種子の詰問に、正直な中川は心苦しくもすべてを打ちあける。美種子の日頃のつめたさは狂熱的な意地わると変じた。彼女は中川の勤務先や交友関係を嗅ぎまわり、房子へ詰問状をおくる。さらに自活の見とおしを樹てるため上京した房子と、中川がひそかに逢っていることを知ると、房子の宿所をたずねてこれをなじる。その打撃から房子は中川に手紙で袂れをつげ、永久にすがたをけした。−−残された中川夫婦はもう夫婦とは名ばかりの言葉もかわさぬ仲であった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1953年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 89
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