「神阪四郎の犯罪」(1956)

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75点75
石川達三のベストセラー小説を映画化。女の持つダイヤ目当てに偽装心中したという疑いをかけられた男・神坂四郎。犯行について4人の証人が現れるが真実はヤブの中で終わる。不敵な男・神坂四郎に森繁が扮して、新境地をみせた異色の推理サスペンス。

あらすじ

三景書房の編集長神阪四郎は、検事の冒頭陳述によると、勤務先における業務上横領が発覚するや、これを糊塗するためかねて関係のあった被害者梅原千代のダイヤの指環に眼をつけ、詐取する手段として被害者の厭世感を利用し、偽装心中を図ったという。証人として出廷を求められた今村徹雄、永井さち子、神阪雅子、戸川智子の四人は各人各様の証言をするが、果して真実を衝いたものであったろうか。評論家今村徹雄の証言午=神阪はいかなる場合も俳優で、彼の語る言葉は台詞にすぎない。千代との情死も関係者の同情をひく手段であろう。編集部員永井さち子の証言=利己主義者で嘘つきだ。妻子のあることをかくし、甘言を並べて自分を欺いた神阪は、ひとたび秘密がバレるや、極力自分を陥れようとした。したがって千代の場合も、巧みに欺かれたのにちがいない。妻雅子の証言=自分は誰よりも良人を愛している。深夜、寝床を蹴って仕事に没頭する良人は、いつも家庭の喜びを与え得ないおのれを私に詫びた。これほど仕事を愛する良人が、罪を犯すとは絶対に考えられない。歌手の戸川智子の証言=神阪は駄々ッ子で世間知らずだから、皆から利用されたのだろう。また死んだ千代の日記には、何かと自分の不幸を慰めてくれた神阪に感謝しているが、病気で入院することになったとき、初めて神阪に妻子があると知り、同時に売却方を依頼してあった母の形身の指環を彼から偽物だといわれ、死を決意し、彼に心中を迫ったと記してあった。最後に神阪四郎は次のように叫んだのである。嘘だ。すべての証言は自分に都合のいいことばかりいっている。思いもよらぬ汚名をきせられ、初めて人間社会の醜さを知りました。これ以上、とやかく申し上げますまい。そして、まもなく、護送車に揺られて行く未決囚たちの中に、神阪四郎の顔が見られた。果して彼は犯罪者なのであろうか?。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1956年
製作国 日本
上映時間 127
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