「アッシイたちの街」(1981)

60点60
1970年代後半からの自動車・家電などの華やかな輸出ブームの影で、京浜工業地帯で働く若者達の姿をダイナミックに描いた、巨匠・山本薩夫監督の青春群像劇。“アッシイ“とは、パックに入った組立部品のことで、ここではアッシイを下請けしながら生活している一家の物語を主軸にして、ドラマが繰り広げられていく。

あらすじ

素人のロック・バンド“アッシイ”のメンバーは、小さな町工場早坂製作所の次男坊早坂浩、バー“エデン”のバーテンダー、青木、ラーメン屋の千葉、学生の原田、バフ屋の李それに母と二人でターレット屋をやっている小川努といった零細工場地帯に生きる貧しい若者たちだ。バンドの合宿練習から早坂浩と妹の美恵が帰って来たとき、家では、兄の茂が注文主の横井から、納期が遅れたことで嫌味を言われていた。一家の重要な働きての彼らは悪天候のため予定日に帰れなかったのだ。茂は早くから父親を亡くし、12歳のときから長男として、油まみれになって働き、母親の春、浩、美恵、末弟の隆を育ててきたのだ。茂は父親が死んでからの相談役である佐川精機の社長佐川信次の協力を得て、下請けから自立営業の転換を考えていた。浩はそんな兄の無謀な計画に反対する。しかし、母、春が「兄ちゃんの言う通り皆でやろう」と断を下し、計画は実行に移された。佐川の援助で独立は順調に進んだ。茂の下請けをする努は美恵と愛し合っていたが、茂の仕事だけの生き方を嫌っており、自分の将来にも絶望していた。そんな努を、美恵は意を決してラブホテルに誘った。浩は、青木が働くバーの子持ちのホステス和美に恋していたが、男に裏切られ息子を育てることだけが生がいの彼女は、仕事で苦労する茂に同情的だった。一方、青木は美恵を密かに慕っており、努と彼女の関係を知って、店の金を盗んで姿をくらましてしまった。ある日、佐川精機が連鎖倒産してしまった。茂は佐川を励ますが娘の真理子は、父にもうそんな元気がないと首を振る。茂は、佐川の債権者の一人、三隅精機の三隅と、佐川の工員を引き取って、より大きく再出発することにした。佐川に対する恩議や家族同様に働いてきた自分の工場の工員への仕打ちに、浩は家を飛び出し、母の春も去っていった。残された茂は必死に働き、努に「美恵のために頑張ってくれ」とはじめて責任をまかせた。納期を控え、努は徹夜で製品を間に合わせた。しかし、その部品は数ミリの違いですべて使い物にならず、絶望のあまり、努は美恵の前で飛び込み自殺した。潰れた鉄工所に“アッシイ”の仲間が集まり、努の通夜をして酒を飲んだ。青木も戻ってきた。佐川の娘、真理子もいる。それぞれが何かに対し怒り、何かに傷ついていた。そこで、浩が「茂が努を殺したみたいに言うのは許さないぞ」と初めて兄をかばった。茂の会社は倒産し、経理係の持ち逃げで何も無くなっていた。茂はもう一度やり直そうと家に帰ると、みんなが彼を待っているのだった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1981年
製作国 日本
配給 大映
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