「影なき声」(1958)

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社会派ミステリー・ブームのなか、鈴木清順が、巨匠・松本清張の原作を得て演出したミステリー映画。清順としては初期の習作の一編だが、アクションのカッティング処理や、一見無意味とも言えるオブジェの突然の画面挿入など、後年の清順美学の片鱗がうかがえる。

あらすじ

毎朝新聞の事件記者・石川汎はある日一人の婦人を見て首をかしげた。その婦人は三年前、社の交換手をしていた高橋朝子だった。彼女は小谷茂雄と結婚しているが、交換手時代ふとした事から殺人犯人の声を聞いてしまった。いまだにその不気味な声が耳について離れず、悩まされていた。彼女の夫・茂夫は小心者で、大東京広告社で浜崎社長の部下として働いていた。ある日得意先を招待し、茂雄の家で麻雀をすることになった。薬局の川井、ビリヤード屋の村岡が客である。浜崎の来るのが遅いので、朝子は電話をかけた。電話口からもれて来た声−−彼女は例の不気味な声に余りにも酷似した彼の声に慄然とした。三年前の事件を報ずる新聞の、「質屋殺人事件、殺人現場から犯人の声、深夜、偶然に聞いた電話交換手」……などの見出しが甦って来た。数日後、茂雄が浜崎と喧嘩をして血だらけで帰って来た。しかも浜崎は郊外で死体となって発見された。茂雄は容疑をかけられ留置された。朝子を訊ね事情を聴取した石川は、アリバイがあることを発見し、調査に乗り出した。彼は第一に麻雀のメンバーの一人・川井を訪ねた。得たことは浜崎から恐喝されているということ、茂雄に浜崎と手を切れとすすめたこと、そしてバーで飲んでいたというアリバイであった。村岡を訪ねた石川はその乾分からマリという情婦のことを聞き出した。そして小平町に家があることも。村岡はその時はプロレスのテレビを見てい、朝まで飲み明かしたと申立てた。しかし村岡が二十分ばかり中座したことを聞き出し、石川は彼への疑いを濃くした。実地検証の結果、殺人現場は田端駅近くの貯炭場であることと、茂雄の犯行自白が発表された。朝子は夫の無実を信じ、石川と共に秘かに村岡の身辺を探っていた。二人は貯炭場を訪れ、そこで犯人の思わぬ失敗を見つけた。殺人当日は土砂降りだったのに、そこに落ちていた黒いボストンバッグは濡れていなかったというのこ。しかし、二十分という時間を考えると、総ては不可解であった。石川は帰宅後ポケットから出て来た貯炭場の石炭の粉を見て暗示を与えられた。彼は小平町に村岡を呼び出した。先廻りした石川は刑事と共に女の家に張込んだ。村岡は総てを自白した。それによると、彼は川井に命令されて小平で殺人を行い、石炭の粉に着目し、あたかも貯炭場で殺したように死体に粉をつけて偽の殺人現場を作ったのであった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1958年
製作国 日本
配給 日活
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