「らぶれたあ」(1959)

40点40
鈴木清順監督が初めて手掛けた叙情派純愛ミステリー。クラブの歌手兼支配人の男はクラブでピアノを弾いている女に想いを寄せている。だが、女には、身体を壊し遠い山小屋で療養中の恋人がいた。二人の愛の証しは、交わし合うラブレターだ。時が経ち、恋人の手紙が次第に間遠くなっていく。片想いを続ける男は、恋人の安否を気づかう女に山小屋行きを助言する。女の帰還を願いつつ――。さて、彼女が山小屋で見たものは? 大ドンデン返しが待ち受ける、清順異色の作品。

あらすじ

突如山々にこだました銃声と、荒々しく飛び立った鳥の羽音にドキリとして空を仰ぐ梢の眼前に、猟銃をさげてぬっと現われた男、それが正男だった。二人は、白樺の道を追いつ追われつ走った。梢が正男と別れて東京へ帰ると、正男からラブレターが来た。それからというもの、梢の机の上には正男の手紙がうず高く積まれていった。手紙には必ず押し花が入っていた。だが、紅葉一葉の手紙を最後に音信は絶えた。−−梢は、クラブ・モンプティにピアノ弾きとして勤めていた。支配人兼歌手の福井は梢に惹かれていた。彼は梢に言った。“君はラブレターに他愛なく酔わされている。もし、君たちの気持がラブレターのままだったら君は正男君の傍で暮すんだな”。−−梢は森の道を急いだ。銃声がこだまし、山鳥が飛び立ち、ぬっと隆次が現われた。梢は隆次の胸に飛びこんでいった。が、二年前とはうって変った山小屋の模様を、梢は不審に思った。隆次は、こう真相を語った。「僕は正男じゃなく弟の隆次、僕たちは双生児なのだ。兄貴は猟銃の暴発で死んだんだ。書き続けたラブレターに、僕はあなたを恋してしまったのだ。」−−クラブ・モンプティの入口に、梢が現われた。福井は梢が山へ行く日、「もう一度クラブに帰ったら僕のところへ帰ったものと思うよ」と言っていたのだ。二人は梢のアパートへ向った。だが、アパートの前には隆次が待っていた。福井は「あの人が正男君だね。いいんだ。……さよなら……」と言って静かに去った。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1959年
製作国 日本
配給 日活
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