「踏みはずした春」(1958)

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清順の太陽族青春映画の第1作。実在の青少年非行矯正ボランティア団体の若い女に左幸子が扮し、使命感と少年への思慕との間で揺れる姿を好演している。清順演出は、説教臭いストーリーをモダンなリズムで飄々と描いている。若き小林旭のふてくされたアウトローぶりが楽しい。

あらすじ

バス会社に勤める緑川奎子はB・B・S(ビッグ・ブラザース・アンド・スターズ)のメンバーになった。B・B・Sとは非行少年少女たちを兄や姉の立場になって更生させる運動のことである。信夫は彼女が始めて扱う少年であった。彼は父親殺しの未遂で少年院から出たばかりだ。最初の夜、信夫は奎子をジャズホールに連れて行った。酔った奎子が気づいたとき、二人はホテルの一室にいた。しかし、信夫は彼女が心をきめて風呂に入っている間に、姿を消した。今日は気がむかねえから−−という置手紙を残して。奎子はそんな危い目に逢ってもひるまなかった。信夫も彼女に親しみ姉ちゃんと呼んだりした。奎子は信夫が中学時代の同級生和恵を好きなのを知ると、彼女に近づいて行った。幼稚園の事務員をしている彼女だけが、信夫の純粋な気持を引き出せたのだ。が、信夫の行いは荒んで行く。奎子は何とかして彼を立ち直らせたかった。心配のあまり、自分の仕事に身が入らなくなった。あるいは、彼女はB・B・Sの立場を越えて、彼を愛していたのかも知れない。信夫は和恵のやさしい気持に動かされ就職する気になった。奎子の言葉には耳をかさなかったのに。しかし彼の前歴に社会は冷たかった。信夫の気をひきたてようと、奎子は彼と和恵を海水浴に誘った。信夫ははしゃぎ、和恵をいたわる。かれらの岩陰での接吻。奎子はふと淋しさに襲われ、それ以上に得体の知れぬ嫉妬に責められている自分を見出した。信夫は立ち直り、街頭で似顔絵描きを始めた。以前から和恵を狙っていたチンピラの梶田は、彼女をおびき出し、電気座布団で感電ショックさせた彼女を犯そうとした。が、和恵は刑事に助かり、一味のトンガリは捕った。警察でトンガリは主犯が信夫だと言った。信夫は無実を主張したが、誰からも信じられないのだ。「俺がよくなろうとしているのに」彼は歯がみして泣いた。−−奎子の証言で、彼は釈放されたが、彼女が駈けつけたとき、瞳を輝せた彼が和恵と仲良く出てきた。奎子はそれをそっと見送った。これでいいのだわ、B・B・Sなのだから。が、彼女は自分が喜んでいるのか悲しんでいるのか、よく判らなかった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1958年
製作国 日本
配給 日活
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