「妻二人」(1967)

80点80
作家を志していた柴田健三は、愛人の順子と別れ、雑誌社の娘・道子と結婚した。ある夜、何年かぶりに順子と会った彼は、彼女が昔の自分と同じように作家志望の男・小林を養っていることを知る。一方、順子と健三の関係を知った小林は、それをネタに道子を脅迫するのだが……。P・クェンティンの『酔いどれ波止場』を新藤兼人がシナリオ化、ミステリー趣向で迫る増村監督の異色作。

あらすじ

作家志望の夢を捨てた健三は愛人の順子と別れ、婦人雑誌社の社長永井の長女道子と結婚したが、ある夜何年かぶりに順子に会った。彼女は文学青年の小林を養い、健三で果せなかった夢を追っていた。順子の部屋を訪ねた健三は拳銃を見つけたが、それは彼女が乱暴な小林から身を守るためのものだった。順子と健三の過去を知った小林は金目当てに道子の妹利恵に近づき、強引に順子と手を切った。道子が小林の人柄が嫌いで二人の結婚に反対すると、小林は健三と順子の過去を道子に知らせ、さらに永井と美佐江の情事、会社の会計係で美佐江の夫井上が横領していることも公表すると脅迫したのだ。誠実と清潔をモットーとする会社にとって、大きなスキャンダルである。道子はその夜大阪出張を口実に家をあけて自分のマンションを見張るうち、田舎へ帰る旅費を健三に頼みに来た順子を見て小林の言葉を確かめた。そして順子の部屋で小林に会い、口止め料として大金を渡した。ところが小林に犯されそうになった道子は傍にあった拳銃で射ち殺してしまったのである。翌日、新聞で事件を知った永井は利恵が犯行時刻に小林の部屋にいたと聞き、スキャンダルを恐れて、健三と利恵が一緒にいたというアリバイを作った。しかし健三は、拳銃と、自分が昔与えた指輪が現場にあったため順子が逮捕された時、犯行時刻に彼は順子と会っていたから、彼女が犯人であるはずはないと考えて彼女を救う決心をした。そんな時道子が帰ってきた。やがて健三は小林が道子を脅迫していたことをつきとめ、道子に問いただした。正直な道子は総てを告白したが健三は道子を見捨てることは出来なかった。道子は正当防衛だし、彼女が健三を愛する誠実な愛であることには変りはなかったからだ。また健三も、順子にひかれながらも道子を愛していた。しかし、道子が自殺するという、悲劇的結末をもって事件は幕を閉じ健三は、警察を去っていく順子を複雑な思いで見送った。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1967年
製作国 日本
配給 大映東京
上映時間 94
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