「大地の子守歌」(1976)

【DVD発売中】

82点82
売春宿に売られた少女の苛酷な運命と、流転する生のたくましさを描く。一貫して力強い女を描き続けてきた増村保造にピッタリの素材である。四国の山奥で祖母と二人で暮らしていた少女りんは、祖母の死後、瀬戸内海の小さな島に売春婦として売られていく。13歳だったりんは初めのうちは下働きをさせられていたが、初潮を迎えるとすぐに客をとらされた。狂ったように働いたりんは、視神経を冒され盲目になるが、それでも働き続ける……。当時、デビュー2作目の新人だった原田美枝子は、この作品で演技開眼したといっても過言ではないくらいの熱演。時としてオーバーに聞こえるセリフ回しも、逆に生命の息吹きを感じさせるほどだ。

あらすじ

秋の四国路の野山に、美しい鈴の音がこだまする。山道を踏みしめていく幼いお遍路の瞳はつぶらだが盲目であった。少女の名はりんという。彼女は四国の山奥で、ばばと二人で野性の子として暮していたが、ばばの死後、瀬戸内海のみたらい島に売られた。りんが13歳の時だった。島でりんを待っていたのは売春という地獄だった。近い将来、りんも春を売る女にされてしまう。彼女は反抗し続け、苦しい時はばばがよく歌った子守唄を歌った。この島では陸地での売春と別に「おちょろ舟」を漕ぎ出して沖に停泊する船での売春があった。りんはおちょろ舟の漕ぎ手を志願した。舟さえ漕げれば、いつの日か島を脱出できると考えたからだ。が、やがて初潮を迎えたりんは、客をとらされた。島で知り合った少年との淡い恋も散った。りんは狂ったように働きつづけた。その結果、視神経を犯されてしまった。それでも、生きる、という望みを捨てなかった。負けるものか、という闘魂がりんの心を支えていた。そんなりんに同情した伝導師が、りんを島から逃がそうと舟に乗せた。四国へ逃げのびてお遍路になれ、という男に向かって、りんは帯をといた。生まれたままの姿で、りんは、男にとも天にも海にとも分らぬまま、汗と涙でよごれた手を合わせた。「うちはただでお金をもらうことはできまへん。どうぞ、うちを好きにしておくれまへ。この恩は、一生、忘れはせんけんな!盲のおりんのこの気持を、うけとっておくれまへ」……。朝焼けの四国路を幼いお遍路が行く。りんは夜露のおりた土に顔をこすりつける。いっぱいにひらいた瞳で、大地の底まで見通そうと一心に目をこらす。やがて、土の下から声がのぼってくる。「おりん、おりん」それは、ばばの声であり、大地の声であり、神の声であり、また、浄化されたりん自身の声でもあった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1976年
製作国 日本
配給 行動社=木村プロ
上映時間 111
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