「喜劇 大誘拐」(1976)

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長距離通勤で知り合った男女4人組がお婆さんを誘拐する。ところが、日頃から家族に不満を持つお婆さんに逆に振りまわされ……。前田監督の演出は渋谷実ゆずりの社会を諷刺する精神で貫かれているが、硬質な中にもほのぼのとしたタッチをにじませ、夢見心地にさせる力を持っている。天藤真の推理小説で、のちに岡本喜八監督により映画化される「大誘拐」をヒントにしている。

あらすじ

東京から遠くはなれた山間の粗末な団地に住む赤木勝彦は、毎朝5時に飛び起き、列車に駈け込む。彼の夢は、恋人の山川礼子と結婚し、分譲住宅を手に入れることだった。すでに二人で働いた三百万円を不動産会社に払っている。さて、飛び乗った列車のボックスには、いつものように学生風の男・内野、老紳士・中谷が掛けており、やがてカメラマンの蒲生が飛び込んで来た。四人は毎朝、この列車で東京へ通ううちに知り合った通勤仲間なのである。実はこの連中、それぞれ悩みを持っている。赤木の場合は三百万円払い込んだ不動産会社が倒産してしまい、中谷の場合は妻が病気の上、会社から自宅待機を言い渡されていた。内野は私立大学の5年生で、十数社の就職試験に失敗、その上、惚れていた女・みゆきが、銀座のキャバレーに勤め出してからは鼻もひっかけてくれない。蒲生はテレビ局の下請けプロのカメラマンだが仕事はあまりもらえない。そんなある日、礼子の勤める「たそがれ酒場」に四人が集まって“たいやきくん”論議をしていると、テレビのCMに所得日本一の北上大作が登場した。そこで社会的不公平の最たる北上大作を誘拐して身代金をいただこうと「たいやきくん同盟」を結成した。数日後、蒲生のプロに思いもかけず大作から選挙用のPR映画を発注してきた。そして大作の園遊会に招待された一行は、そこでみゆきに会った。尊大にかまえる大作の傍で選挙参謀の川島がつきっきりで世話をやいていた。翌日、一行は大作の孫を、祖母のマツと忍者遊びをしている最中に誘拐したものの、途中で怖くなってタクシーで送り返した。ところが、車のトランクの中に忍者遊びで穏れていたマツが、息も絶え絶えに現われた。マツは一部始終を聞くと、みんなの応援をするとばかり、自ら五億円の身代金を大作に請求した。選挙参謀の川島は、この誘拐を逆に宣伝し、母のために身代金を払う大作のイメージ・アップを企った。しかも、みゆきが大作の息子に犯人は赤木たちに違いない、と密告していた。身代金を渡す日がやって来た。大作は五億円の札束をダンボール箱につめ車からつき落とす。それを拾った赤木たちは冷凍車に乗って無事団地へ帰ったが、五億円は氷の塊りになっていた。そこへ、四人組の男が現われ、金を奪い取られてしまった。無事に帰ったマツは、身代金が大作に奪い返された事を知り、その金が、明日、選挙地盤の買収のためホテルで渡す計画を赤木たちに知らせた。当日、赤木たちはボーイに化け、その金をふたたび奪い返したものの、追われたため咄嗟にゴミ車の中に投げ込んだのだが、その車を見失ってしまった……。数日後、五億円は風に吹かれて、東京湾に飛び散っていた。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1976年
製作国 日本
配給 松竹
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