「東京兄妹」(1994)

65点65
失われかけた東京の情景、そこに生きる兄妹の日常を、懐かしく、はかなく、時に厳しい視点を持って描く。古き良き東京、見ることの少なくなった日本式家屋、懐かしさ漂う小道具など画面を構成するディテールの随所に、市川監督の敬愛する小津安二郎作品へのオマージュが漂う。両親を亡くし、ひっそりと暮らす兄妹。妹は今日も兄のために好物の豆腐を買いに行く。兄は、そんな妹を残して結婚する決心がつかない。やがて高校を卒業した妹は、兄の親友と交際し始め、兄の心中は穏やかでない……。

あらすじ

両親を亡くし、兄一人妹一人で暮らしている日暮兄妹。兄・健一は古本屋に勤め、妹・洋子は高校卒業後、駅前の写真ラボ屋で働いていた。二人が生活している町は都電が走り、昔ながらの商店が並び、醤油の貸し借りをするような近所づきあいの残るちょっと古臭い町だった。健一は一家の生計を支える存在として関白であり、その態度は毅然としていた。洋子もそれを当然のことと受け止め、家事の一切と兄の面倒をよくみた。健一には恋人の桂子がいたが、妹が二十歳になるまで結婚は待ってくれという彼の言葉に愛想を尽かした桂子は、健一と別れてしまった。数日後、健一は家に友人で写真家の真を連れて帰って来る。洋子は真の顔を見て、彼が洋子の勤めるラボ屋にちょくちょくやって来る客だったことに気付いて驚いた。二人はそれ以来デートを重ね、洋子は家を飛び出して真と同棲を始めてしまう。胸中穏やかではない健一は、洋子に帰って来るように電話をかけるが、願いは聞き入れられなかった。だがある晩、飲み屋で泥酔した真が急死する。傷心の洋子は行き場を失い、真の葬儀があった夜、家に戻って来るのだった。こうしてまた日暮家の日常が再開された。しかしある晩、勤めから戻った健一は、門を潜りかけたところでその足を止め、再び表へ出て行ってしまった。彼の帰りを待っていた洋子は、その時、門の鈴の音が聞こえたような気がして顔を上げた。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1994年
製作国 日本
配給 ライトヴィジョン
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