「夫婦〈1953年〉」(1953)

75点75
ある地方都市から東京へ転勤してきた安サラリーマン・中原伊作とその妻・菊子。彼らは、妻を失い独り身の武村という男の家に同居させてもらうことになるのだが……。すでにハネムーン気分も遠い昔のこととなった結婚6年目の夫婦が、一人の独身男と生活をともにするなかで、曲折の果てに夫婦の深い愛情を確認し合うに至るまでを描いた、成瀬お得意の小市民ホームドラマ。成瀬が最も充実した作品群を連作した1950年代前半の作品で、水木洋子、中井朝一といったベスト・スタッフが脇を固めている。必要最小限の登場人物で人生のすべてを描ききってしまうシナリオと演出の素晴らしさは驚異的。

あらすじ

東京郊外の新開地に「はや川」という鰻のかば焼きと佃煮類の店を開いている早川直吉一家。長女菊子は地方のある電気商会のサラリーマン中原伊作に嫁し、長男茂吉と次女久美子が店を手伝っていた。茂吉は最近結婚することになっていた。そこへ菊子夫妻が東京へ転勤になり上京して来た。そして貸間探しに苦労の末、伊作の同僚で妻を失った武村良太の家へ同居させて貰うことになった。結婚生活六年で子供もない菊子は生活の覇気を失いかけた良人に不満を覚えることもあった。一方、妻を失った武村の食事や身のまわりの世話をまめまめしくする妻の姿に、伊作は淡いねたみを感じることもあった。そんなことから二人の間の冷い溝は深まるばかりだったが、その間に茂吉の結婚があり、その新妻波子の世話で新しく二階借りをして伊作と菊子は久しぶりで二人切りの生活にはいった。が思いがけなく菊子は妊娠したという。生活は楽でない上、折角の間借りは子供のないことが条件だった。妊娠中絶のため医者へ行った菊子、伊作は夫としての苛責でそのあとを追おうとしたとき、菊子も子供を思いあきらめられず、ひきかえして来た。このときはじめて伊作と菊子とは、お互にこれまでにない愛情がにじみ出て来るのを感じた。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1953年
製作国 日本
配給 東宝
チケット 前売りチケットを購入する