「三たびの海峡」(1995)

75点75
第二次大戦末期から現代までの日本と朝鮮半島を舞台に、最初は強制されて、その後は自分の意思で、両国の間に横たわる海峡を三たび渡った韓国人・河時根(ハー・シグン)の憎しみと愛に彩られた半生を描いた大河ロマン。「月光の夏」「ひめゆりの塔」と、ヒューマニズムあふれる作風が高く評価される神山征二郎が本作でも難しいテーマを見事に演出。キャストは総じて好演だが、とりわけ主人公の妻に扮した南野陽子が、時代の波にほんろうされる女の哀しみを絶妙に表現した。原作は吉川英治文学新人賞を受賞した同名小説。日本映画としては初めての韓国ロケを行った作品。韓国で試写が予定されたが、韓国政府の反対により、中止された。

あらすじ

韓国・釜山。70歳の河時根の元へ、戦時中ともに徴用で連行された在日韓国人の同胞・徐鎮徹が訪ねて来た。日本のことを一切断ち切っていた河の脳裏に、50年前の過去が蘇ってくる。太平洋戦争末期、若き河は北九州の小さな炭坑に連行され、朝鮮人を人間と思わず牛馬のようにこき使う日本人の労務監督・山本三次の下で地獄のような日々を過ごした。脱走を謀る者へは凄まじいリンチが加えられ、労働争議を起こした金などは自殺に追い込まれた。河はついに脱走を決意し、見回り労務を殺して逃走。アリラン集落に匿われ、そこからさらに飯場に送り込まれて追手から逃げきった。そこで働き始めた河は、若い戦争未亡人の日本人・千鶴と秘かな恋におちる。やがて日本は敗戦を迎え、徴用で連行された朝鮮人たちも解放された。河が未払いの給料を炭坑に受け取りに行くと、あの山本は以前とはうって変わった態度で手続きを助けるのだった。折しも千鶴は河の子供を身ごもっており、河は千鶴とお腹の子供を連れて海峡を渡り故郷・韓国へ戻ることになる。故郷の慶尚北道の小さな村では、日本人女性を連れた河は村八分にされるが、村外れの小屋にやっかいになって千鶴は男の子を出産した。そんなささやかな幸せも束の間、千鶴は置き手紙を残し、子供を連れて日本へ帰ってしまう。以来河は日本のことを忘れ今日まで過ごしてきたが、不治の病に侵された今、さまざまな思いを込めてもう一度日本を訪れる決心をした。日本に来た河はかつての軍属や同胞を訪ね回り、かつての炭坑の側で眠る仲間たちの墓を訪れる。あの山本は、今はこの土地の市長となって再選の選挙に臨んでいた。河はまた今は亡き千鶴ともうけた息子・佐藤時郎と対面し、時郎の許しを得て彼の家族とも引き合わせてもらう。時郎の家族からも暖かく迎えられた河は、次に山本と会おうとした。半ば脅迫して山本を呼び出した河は、炭坑の側の墓へ彼を連れていき、墓に謝ってくれと叫ぶ。だが山本は昔は昔だと取り合わず、河に対して金まで用意していた。河と山本は揉み合いになり、弾みで河は山本を殺してしまう。そして、河もまた病のために力尽きるのだった。それは河にとって50年目の戦争だった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1995年
製作国 日本
配給 「三たびの海峡」製作委員会
上映時間 123
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