「樹の海/JYUKAI」(2004)

【DVD発売中】

79点79
自殺の名所として名高い富士山麓、青木ヶ原樹海を舞台にした群像劇。樹海に足を踏み入れた人々の4つのエピソードが展開していく。生と死の狭間に立った登場人物に扮する萩原聖人や池内博之らキャストの熱演と、死と負の題材を希望の物語に昇華させた新鋭、瀧本智行監督の脚本が見事だ。

あらすじ

青木ヶ原樹海と呼ばれる溶岩流と原生林からなる森は、いつの頃からか、自殺の名所としてその名を日本中に知られている。(1)暴力団組織にそそのかされて5億円もの公金を横領、口封じの為に殺されて、樹海に遺棄された朝倉(萩原聖人)。奇跡的にも一命は取り留めたものの、犯罪者と成り下がった今、この森を出ても行き場所はない。朝倉は寝袋を手に森の中をあてどもなくさまようしかなかった。森を歩くうちに、朝倉は一人の男に出会う。今まさに自殺しようとしている中年男・田中だった…。(2)悪辣な金融を営むタツヤ(池内博之)の携帯電話に、夜逃げした顧客・北村今日子からの突然の着信。自殺をしようと樹海へ入ったはいいが、足を挫いて動けない、というSOSだった。携帯電話越しの今日子の声と森の中に張り巡らされたロープに導かれながら、タツヤは森の奥へ誘われるように進む。歩を進めるうち、タツヤの中に不思議な感情が芽生え始める。タツヤは森の中で自分を解放するかのように語りだす。突然襲いかかる不安。果たしてこの森の奥に、本当に今日子はいるんだろうか…。タツヤは今日子にいてほしいと強く願いながら、ロープの終点を目指して走る。(3)一流企業に勤める山田(津田寛治)は、興信所の探偵・三枝(塩見三省)に突然呼び出される。彼から見せられた写真には若い女と一緒に自分が写っていた。しかし山田はその写真にも女にも、全く憶えがない。「彼女は横山真佐子さんといって、先日、樹海で自殺しているのが発見されました」。写真は真佐子の遺留品だと言うのだ。山田は必死に記憶を辿るうち、その写真が撮られた日のことを思い出す。それは2002年の日韓ワールドカップ、日本が初めてロシアに勝った試合の夜の出来事だった。山田は、たった一瞬すれ違った真佐子との思い出を話し出す…。(1´)一方、朝倉はさまよううちにまた田中に出会ってしまう。田中はすでに死んでおり、ロープの先で無言になって揺れていた。朝倉は田中のポケットを探り、遺書代わりのメモを見つける。田中は中小企業経営者で、資金繰りに困った末、家族へ残す保険金のための覚悟の自殺だった。朝倉は死体となった田中と一晩を過ごす。やがて、朝倉は犯罪者となった自分のことを喋りだす。それは後悔と自責の念、そして生きてこの森から出ることはできないという思いつめた心情だった。朝倉の独白を田中はただ“黙って”聞いている。そして夜が明け、朝倉はふとあることに気付いた…。(4)映子(井川遥)は首都圏郊外の私鉄駅の売店で働いている。2年前、ストーカー行為のために都市銀行本店勤務というキャリアを失い、今はひっそりと暮らしていた。生活のために就いた仕事だったが、いつしか映子はこの職業を愛し始めていた。いや、職そのものよりも、売店に溢れている商品を愛していた。駅売店の商品はいつも緊急のために存在している、必要としてくれる人をこの狭い空間で待ち続けている、それは商品に託した自分の今の心境だった。歳月が映子の心を癒し始めた頃、偶然が起きる。映子がストーカーをはたらいた不倫相手の渡辺がこの町に越してきたのだ。映子は2年ぶりに精彩をなくした渡辺を見た。二人の視線が一瞬交錯したが、空ろな渡辺の瞳に映子の姿は映っていなかった。あの事件は自分だけではなく、渡辺をも変えてしまっていた。映子はひとり、樹海へと向かう。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 2004年
製作国 日本
配給 ビターズ・エンド=「樹の海」製作委員会
上映時間 119
公開日 2005年6月25日(土)公開
映倫 PG12
カテゴリ 人間ドラマ
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