「肌の隙間」(2004)

【DVD発売中】

50点50
『ユダ』の瀬々敬久監督が浮き彫りにする、男女の美しき逃避行。母親を殺害した少年と、彼と同居していた叔母。ふたりの旅と禁断の愛欲の行方を、虚飾を排した凄烈な筆致で描き出す。極限まで剥ぎ取られたセリフ、そして音楽の不在。無言のままきらめく描写が、多くのことを語りかけてくる。

あらすじ

渋滞の車が並ぶ脇を縫うようにしてスクーターが通り抜けてゆく。運転する妙子(不二子)の背中には少年、秀則(小谷健仁)がしがみついている。母ゆきこを殺したおいの秀則を連れ、妙子は遠く「がいこく」を目指していた。二人が過疎化した村の古びた家を訪ねると、中から妙子の年老いた母(吉村実子)が迎え入れた。母は妙子に掴みかかり、「ゆきこではなく、おまえが死ねばよかったんだ」と泣き崩れた。翌朝、家を出た二人の前にアイスクリーム売り(伊藤洋三郎)が通りがかり、彼らを車に乗せてくれた。途中、立ち寄ったガソリンスタンドのテレビには妙子の指名手配写真が映し出されていた。二人を川遊びに連れ出したアイスクリーム売りは妙子に押しかかるが、彼女は秀則と一緒に逃げ出す。二人は森の中に無人の山荘を見つけ、勝手に住み着く。盗んだトマトを秀則に与え、その頭を洗ってやろうとする妙子は、まるで母親が我が子にしてやるかのようだった。秀則を無理やり自分の中に導こうとする妙子の顔が激痛に歪む。彼女は処女だった。秀則は妙子の腕に無数のひっかき傷を見つけ、その腕を掴む。妙子は秀則を求め、彼も抵抗することなく身を委ねた。それから二人は数日、動物のように盗んだ食べ物で腹を満たし、欲望にまかせるままにセックスを繰り返した。ある日、秀則は留守中の農家に忍び込むと、彼と同世代の少女の部屋で眠り込んでしまう。夕方になり、秀則は彼女が帰ってきたことに気づいて逃げ出す。その夜、秀則は自分が人を殺したのに誰も捕まえないと泣き出しそうな顔で訴えながら、妙子と愛し合った。翌日、秀則は自分で腹を刺して死のうとした。秀則は妙子に母ゆきこの死に際の様子を語る。自閉症児である妙子の世話に疲れたゆきこの最後の言葉は「ああ、しんど。ほっとした」だった、と。妙子は傷ついた秀則を背負って山荘を抜け出す。トラックの荷台に乗り込んだ二人は東京にたどり着く。そこには川べりにホームレスたちの薄汚れたバラックが立ち並ぶ荒んだ光景が広がっていた。二人の前に立ち塞がった浮浪者の男(飯島大介)は彼らをバラックに連れ込み、秀則の傷の手当をする。意識を取り戻した秀則に男はおにぎりを与えるかわりに妙子を押し倒し、犯しつづけた。耐え切れず目をそむける秀則。翌日も男は妙子の身体を弄ぶが、秀則は男に襲いかかり包丁で刺した。逃げ出した二人は川を越え、いつの間にかビルが立ち並ぶ明け方の街角にいた。「みんな、死んだ。秀則、死にますか」と言う妙子に、秀則は「絶対…死なない! 殺されたって、絶対! 死なないんだよッ!」と叫ぶ。ケモノのように互いを傷つけあう二人。馬乗りになった妙子は秀則を押さえつけると首を絞めた。秀則の意識が遠のいたとき、前ぶれもなく妙子の頬を涙が伝った。振り絞るように発せられた言葉。「かな、しい」。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 2004年
製作国 日本
配給 アルゴ・ピクチャーズ=国映=Vシアター135=新東宝映画
上映時間 77
公開日 2005年5月28日(土)公開
映倫 R18+
カテゴリ ラブ・ストーリー
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