「人間標的」(1971)

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原作は藤原審爾の『新宿警察・復讐の論理より』で、井上梅次が脚本と監督を担当している。刑務所を脱獄したある殺し屋が、自分を捕まえた刑事が愛人を横取りしたことを恨み、その復讐に刑事と愛人を殺そうとたくらむ。殺し屋に山崎努、刑事に若林豪、愛人に香山美子がそれぞれ配されている。

あらすじ

都内のある刑務所内の独房。その中にいる囚人は麻薬ルートの縄張り争いから、金で買われ不動産屋を殺した山部である。狂暴な彼の眼に一組の男女の抱擁する姿がちらつき、彼は看守の眼を盗んでは窓の鉄格子をヤスリで切っている。彼の目に幻覚としてうつる男女は、彼を捕えた根来刑事と、山部の昔の恋人さく子であった。その夜、根来は同僚の村山刑事を伴って、チンピラやくざの吉田を捕らえようとアパートの近くに張り込んだ。寝こみを襲われ、逆上した吉田が射った弾は村山に当り、根来が射ち返した時、吉田ははずみで窓から転落死してしまう。正当防衛とはいえ、麻薬売買の糸口を握っていた吉田を死なせた根来は落胆する。一方、脱獄に成功した山部は、不動産屋殺しを命じた麻薬ルートの元締である妹尾のもとに現われ、一千万円とライフルを盗って飛びだした。妹尾は、山部の不動産屋殺しの報酬一千万円をさく子に渡していなかったので山部の脱獄におびえていたのだ。その頃、根来はさく子のアパートにきていた。二年前、山部を逮捕しようとした時、山部をかばったさく子の足に根来の射ったピストルの弾があたり、さく子は足が不自由になった。そのさく子を見舞い、励ますうち二人は真剣に愛し合うようになった。根来は、犯人を刑務所に送り込んだ刑事が、その愛人を横取りするような結果になることにひっかかっていた。一方、山部の出現にあわてた妹尾たちは、何とかして山部の恨みを根来に向けさせようと必死になる。根来がさく子のアパートにかけつけた頃、彼女は妹尾におびきだされ根来の帰りを待つ山部のおとりとして、監禁されていた。さく子を愛し幸せにしたいばかりに金に眼がくらんで罪を犯したという山部の気持を聞いても、彼女の今の気持は変わらなかった。逆上した山部は、根来を殺してさく子と一諸に死のうと決心した。根来の部屋に明りがつき、妹の斗志子が帰ってきた。山部はライフルを発射させる。幸いにも、斗志子は村山からもらったペンダントのおかげで一命をとりとめ、山部は、駈けつけた部長刑事以下多数の警官隊に包囲され、さく子を人質にした彼の興奮は高まっていく。さく子を道連に死ぬという山部の前に、死んだと思っていた根来が一人丸腰のまま現われた。根来はどんな気持で彼女を愛し悩んだかを率直に話し詑びるが、さく子への気持をふっ切れない山部は、根来の方へ駈けよろうとするさく子をついに射殺してしまった。さく子を抱きしめる、山部の手からライフルが落ちる。ひざまづいて泣き出す山部。さく子の死体を乗せた救急車と、山部を乗せたパトカーが夜の町を走っていく。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1971年
配給 松竹
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