「仰げば尊し」(1966)

50点50
森繁久彌が老教師を淡々とユーモラスに演じた和製“チップス先生“の趣の作品。瀬戸内の小学校教師・浜口丈太郎は、かつての教え子たちの消息を訪ねて上京する。だが、彼らの多くは日々の暮らしに追われる、世知辛い生活を送っていた……。

あらすじ

瀬戸内海の小学校で教壇に立っている老教師浜口丈太郎のところに、かつて教え子黒川が東京から訪ねてきた。だが、浜口と酒をくみ交した習朝、黒川は海岸で自殺していた。そして、知らせを聞いて駆けつけたのは黒川の妻ではなく、愛人の千津だった。浜口はお骨を黒川の妻頼子に渡すべきだと考え上京した。だが頼子は、死んだ者のお骨をもらってもしょうがないと冷たく突っぱねるのだった。浜口は東京の変貌と共に人の心も変ってしまったことを嘆き、東京にいる教え子がどう変っているか訪ねてみることにした。そして浜口の見たのは理想を失い、故郷への愛着を忘れ、日本人であることを忘れた人々だった。中学時代に日本のシュバイツァーになるんだと張りきっていた小松原浩は連れ込み旅館をやっていた。パスツールを目指していた長谷川透は堕胎専門の医者になっているという有様。また都会議員になっていた西岡勝利は選挙戦術用に美談を作りあげようと浜口を利用し、誰ひとり心から老教師を迎えてくれる者はいなかった。千津がすでに黒川の子を姙っていたので、千津の面倒を頼もうと思っていた浜口は、誰にも任せる気にはなれず、千津と共に帰ることにした。途中、淡路島に寄って教え子の長尾久四郎に会った。長尾は誰もふりむこうとしない郷土芸能、人形浄瑠璃の維持に一生懸命だった。それを生徒に教え、保存していこうというのだが、浜口は日本の伝統を守ろうとする長尾に会って喜んだ。生徒たちのやる人形浄瑠璃を誰も見にこなかったけれども、浜口はここに来て初めて本当の人間に会った気がしたのだった。やがて、どうやら千津に魅かれたらしい長尾に彼女を託して浜口は元気に帰っていくのだった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1966年
製作国 日本
配給 東京映画
上映時間 93
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