「黄色い風土」(1961)

70点70
モダンなアクション映画を得意とする石井輝男監督が松本清張の原作を得て、推理ミステリーに挑んだ意欲作。『週刊東都』の記者、若宮は仕事で立ち寄った熱海で、新婚の夫が自殺し新婦が失踪するという事件に遭遇する。若宮と同僚の田原はこの事件を追うが、謎は深まるばかりであった。

あらすじ

「週刊東都」の記者若宮は女性問題の権威島内輝秋氏の談話を取るため熱海に向う車中、見送人のいない新婚夫婦と、沈丁花の匂いを漂わせて隣に座った美貌の女に興味を惑かれた。熱海で村田通信員に迎えられた若宮は「鶴屋ホテル」に泊った。その晩、431号室の彼の部屋に間違って黒い洋服を届けた男があった。翌日、島内を訪ねた若宮は室内で沈丁花の匂いを嗅ぎ車中の女を思い出した。その日錦ケ浦で自殺があった。現場にとんだ若宮は、その死体が例の新婚の夫であって新妻は失踪、またその部屋が481号室であり、昨夜の男は自分の部屋の431号室と間違えたのだと判った。若宮はこの自殺に謎を感じた。編集長木谷も若宮と同じ意見だった。若宮と同僚田原は社会部を外され遊軍としてこの事件を追った。数日して、鶴屋ホテルのフロント係春田が、名古屋の西山旅館で殺された。やはり連れの女は逃げていた。名古屋に飛んだ若宮は島内と偶然に逢った。やはりこの部屋には微かな沈丁花の匂いがあった。東京へ帰った若宮は、新聞をみて驚いた。倉田という男が真鶴岬でニセ札をポケットに入れて惨殺され、その男は、若宮の部屋に洋服を間違えて届けた男だからだ。若宮が真鶴に飛んだその晩、真鶴に大火があった。印刷所が焼けたのだ。真鶴−殺人−ニセ札印刷所、若宮のカンが閃いた。印刷所主人の奥田孫三郎を追ったが、木曽川下流犬山で奥田は水死体となっていた。犬山へ行った四郎は奥田が月一回西山旅館と連絡を取っていることを知った。また程遠からぬ岐阜で島内が講演していた。事件のあるところ必ず島内がいる。その島内を訪ねたが、島内は講演中カプセル入りの青酸カリによって死んだ。島内家の葬式の日、若宮は沈丁花の女をやっとのことで横浜まで誘いだしたが、女は「アジサイ」というヒントの言葉を残して消えた。防衛庁を訪れた若宮は、陸軍第九研究所が謀略用にニセ札を造り、それをアジサイ工作とよばれていたこと、岩淵安男という警察側のスパイがこの事件を追っていたことがわかった。熱海で自殺した男は岩淵なのだ。そこへ熱海から村田通信員の電話があった。西山旅館の主人が陸軍第九研究所所長奥田大佐であり、その奥田大佐が箱根にいるという情報だった。若宮は村田と共に奥田の潜伏している建物に忍びこんだ。そこには偽ドルが散乱し、女の死体があった。熱海で消えた女由美であった。若宮は村田の一寸した不注意の言葉から、この一連の殺人事件の主犯が村田であると知った。村田は第九研究所の大尉で奥田の部下であり、偽ドルを作って莫大な儲けをあげていた。だが、部下の数人が村田の目を盗んで偽五千円札を作ったことからこの一連の殺人事件が起きたのだった。村田は若宮を殴り倒して富士原野に運んだ。自衛隊の射撃演習が始るからである。だが、砲弾にやられたのは村田の方だった、沈丁花の女はそれをみて村田の傍に走り去った。その後にまたもや一斉射撃の砲弾が飛んでいった。若宮は呆然と見送るだけだった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1961年
製作国 日本
配給 ニュー東映東京
上映時間 89
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