「ピーター・グリーナウェイの枕草子」(1996)

50点50
若い頃に清少納言の随筆を読み、深い感銘を受けたというP・グリーナウェイ監督が、満を持して取り組んだ現代版『枕草子』。京都の旧家に生まれたナギコが、美しいファッション・モデルに成長する。両親の影響で書と文学に興味を抱くナギコは、ジェロームというイギリス人の理想の恋人と出会い、至福の時を過ごすが……。ヒロインが人間の肉体に筆を走らせ、愛と復讐のドラマを織り成していくという着想がユニーク極まりない異色作。シーンによってスクリーン・サイズを変えたり、画面内に別の小さなフレームを挿入するなど、グリーナウェイらしい革新的な映像作りが随所に見られる。また語学力などの問題で適役の日本人女優が見つからず、中国人のV・ウーを主役に抜擢。後に「トレインスポッティング」で一躍スターとなるジェローム役のE・マクレガーが、たどたどしい日本語とオールヌードを披露している。

あらすじ

京都。旧家に生まれた清原諾子(ヴィヴィアン・ウー)は幼い頃から、書道家である父(緒形拳)の手で顔や体に書を書いてもらう喜びを感じて成長した。中国人の母親(ジュディ・オング)叔母(吉田日出子)が好きな中国歌謡が流れるなか、枕元で清少納言を読んでくれる。諾子の空想の中で、清少納言(吉田日出子=二役)は特別な存在だった。だが、経済的に苦しむ父親は、出版社の社長(オイダ・ヨシ)に生活のため体を奪われるなど、屈辱に耐えていた。18歳の諾子(河合みわこ)は、その出版社社長の甥(光石研)と結婚させられるが、文学も理解せず、無道な振る舞いが続く彼を捨て、新居に放火して、彼女は母の故郷・香港へ逃れた。下積み生活からモデルとして成功を収めた彼女はメイド(吉田日出子=三役)を雇い入れ、豪奢な生活を始めるが、なぜか満たされない。行きずりの男たちに自分の肌に書を書かせて、理想の男を探し求める。そんな中、ついにめぐりあったのが、英国人の翻訳家ジェローム(ユアン・マクレガー)。お互いに書を通じて肌を委ね、悦楽に浸る二人。だが、蜜月は続かない。諾子は自分の裸体の書を写真に収めて出版社に売り込むが、そこであの出版社社長と再会する。あろうことかジェロームは彼の愛人でもあった。ジェロームの提案で、彼の体に書をしたため、諾子は社長の元に送りだす。はたして出版社社長は彼を手放さず、諾子は二人の情事を目撃して衝撃を受ける。父と恋人の体を奪った仇に対し、嫉妬と復讐に燃える諾子。彼女は出版社に次々に人間の書を送りだす。一方、諾子に会えない焦燥からジェロームは『ロミオとジュリエット』を真似て狂言自殺、だがそのまま帰らぬ人に。諾子は彼に第六の書『愛人の書』を書きつけて埋葬し、故郷に戻る。彼女は妊娠していた。だが、あの社長がジェロームの墓を暴き、彼の遺体から1冊の本をつくりだしたと聞くや、諾子は再び人間の書を再開。第十三の書は『死の書』。彼女は復讐を遂げた。女の子を生んだ諾子は、父がしたように、幼い娘の顔に書を書き入れるのだった。 【キネマ旬報データベースより】
原題 THE PILLOW BOOK
製作年 1996年
製作国 英=仏=オランダ
上映時間 127
公開日 1997年7月19日(土)公開
映倫 R15+
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