「赤ひげ」(1965)

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83点83
江戸時代に幕府が設置した医療機関・小石川養生所を舞台に繰り広げられる庶民の人生模様、所長・赤ひげと青年医師の心の交流を描いた、黒澤ヒューマニズムの代表作。山本周五郎の『赤ひげ診療譚』を原作として監督の黒澤明以下、井手、小国、菊島というおなじみのチームの脚本による大作。撮影は黒澤組常連の中井朝一と後年の黒澤作品を担当する斎藤孝雄。助監督には、森谷司郎、松江陽一、出目昌伸、大森健次郎といった顔ぶれが並ぶ。また、佐藤勝による音楽も忘れがたく、この作品に気高さを添えている。長崎で和蘭陀医学を学んだ青年・保本は医師見習いとして小石川養生所に住み込むことになった。しかし保本は所長赤ひげに反発を覚え、養生所の禁を犯し破門されることすら望んでいた。座敷牢の狂女は先天制体質が原因だとする赤ひげの診断を、誤りだと指摘した保本は、禁を破って狂女の観察を繰り返した結果、赤ひげの診断の正しさを知る。日々貧乏人と接し黙々と医術を施すその姿を見て、保本は次第に赤ひげに共感を覚えるようになる。

あらすじ

医員見習として小石川養生所へ住み込んだ保本登は、出世を夢みて、長崎に遊学したその志が、古びて、貧乏の匂いがたちこめるこの養生所で、ついえていくのを、不満やるかたない思いで、過していた。赤っぽいひげが荒々しく生えた所長新出去定が精悍で厳しい面持で、「お前は今日からここに詰める」といった一言で、登の運命が決まった。人の心を見抜くような赤ひげの目に反撥する登はこの養生所の禁をすべて破って、養生所を出されることを頼みとしていた。薬草園の中にある座敷牢にいる美しい狂女は、赤ひげのみたてで先天性狂的躰質ということであった。登は、赤ひげのみたてが誤診であることを指摘したが、禁を侵して足しげく通った結果登は、赤ひげのみたてが正しかったことを知った。毎日、貧乏人と接し、黙々と医術をほどこす赤ひげは、和蘭陀医学を学ばなければ解る筈のない大機里爾という言葉を使って、登に目をみはらせた。赤ひげは「病気の原因は社会の貧困と無知から来るものでこれに治療法はない」といつも口にしていた。こんな中で登は、貧しく死んでゆく人々の平凡な顔の中に、人生の不幸を耐えた美しさを見るようになった。登が赤ひげに共鳴して初めてお仕着せを着た日赤ひげは登を連れて岡場所に来た。そして幼い身体で客商売を強いられるおとよを助けた。人を信じることを知らない薄幸なおとよが登の最初の患者であった。長崎帰りをひけらかし、遊学中に裏切ったちぐさを責めた自分に嫌悪を感じた登は、おとよの看病に必死となった。やがておとよは、登に対しても他人に対してもあふれる愛情を示し始めた。そしてふとした盗みでおとよに救け出された長次とおとよの間に、幼い恋が芽生えた頃、登はちぐさの妹まさえと結婚の約束を取り交した。そして、名誉にも金にも縁遠くなっても、一生この養生所で、医術にいそしむことを誓った。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1965年
製作国 日本
配給 黒澤プロ
上映時間 185
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