「イングリッシュ・ペイシェント」(1996)

【DVD発売中】

67点67
第69回アカデミー賞で作品賞をはじめ9部門を制覇したロマンス大作。英国のブッカー賞を受賞したM・オンダーチェの原作『イギリス人の患者』をもとに、運命にほんろうされる男女の激しい恋の行方を描く。第二次大戦終戦間近の1944年。負傷したハンガリーの冒険家アルマシーが、カナダ人看護婦ハナの下に運ばれてくる。戦争によって愛する人を失い絶望していたハナの献身的な看護を受けるアルマシー。消えゆく意識の中で彼の頭によみがえったのは、最愛の人キャサリンと出会ったサハラ砂漠でのことだった……。1938年、アルマシーが地図を作るために訪れたアフリカの砂漠で出会った、英国人のキャサリン。互いに惹かれ合う二人だが、彼女には英国情報部員の夫がいた。許されぬ愛に苦悩しながらも密会を重ねる彼らに、やがて悲劇が襲いかかる。回想形式で綴られる物語は、主人公の愛の日々と看護婦ハナの再起のドラマとを巧みに絡ませて展開。官能的な美しさを湛える、壮大な砂漠の映像が印象的だ。

あらすじ

44年、イタリア。砂漠の飛行機事故で全身に火傷を負い、記憶の大半を失って生死をさまよう男が野戦病院に運び込まれた。戦争で恋人も親友も亡くして絶望にかられていた看護婦のハナ(ジュリエット・ビノシュ)は移動する部隊を離れて、爆撃で廃墟と化した修道院に患者を運び込み、献身的な看護を続ける。男は断片的に甦る思い出をハナに聞かせる。彼の名はアルマシー(レイフ・ファインズ)。ハンガリーの伯爵の家柄に生まれた冒険家の彼は、英国地理学協会に加わり、アフリカはサハラ砂漠で地図作りに没頭していた。38年、協会のスポンサーとして夫ジェフリー(コリン・ファース)と共に参加していたキャサリン(クリスティン・スコット=トーマス)は、夫が英国情報部のカイロに戻った後も砂漠に居残った。アルマシーはたちまち彼女に心奪われる。猛烈な砂嵐に見舞われた一夜、2人きりで過ごしたジープの中で互いの心を知った彼らは、カイロに戻ってアルマシーの宿舎で結ばれた。人目を忍び密会を重ねる日々に、キャサリンは愛し愛される喜びと、夫に対する罪悪感の狭間で揺れる。折りしも戦争の機運が高まり、彼女アルマシーと別れて帰国しようとするが、彼には彼女のいない人生は考えられなかった。2人の関係はやがてジェフリーに知れ、彼は嫉妬に狂った復讐の決意を胸に、小型機の助手席にキャサリンを乗せ、ジルフ・ケビールの“泳ぐ人の洞窟”近くでキャンプの引き上げ作業にあたるアルマシーの元へ向かった…。ハナと患者の前にカナダ人のカラヴァッジョ(ウィレム・デフォー)が現れ、納屋に居候する。戦前のカイロで英国情報部に出入りしていた彼は、スパイ容疑でドイツ軍将校(ユルゲン・プロホノフ)に親指を切り取られ、その原因がアルマシーと思い込み、報復を果たそうと行方を探していたのだ。さらに、爆弾処理専門のインド人中毒キップ(ナヴィーン・アンドリュース)が修道院の中庭にテントを張って住み始め、ハナとキップの間に愛が芽生える。やがて迎えた終戦の日。人々が祝うさなか、キップの部下が事故で爆死し、ハナは悲しみを分かち合おうとする。一方、カラヴァッジョが敵意を剥き出しにして言った「アルマシーがスパイだと知って、おまえの親友マドックス(ジュリアン・ワドハム)は拳銃自殺したんだぞ」という言葉に、アルマシーの記憶が一気に甦った。あの日、キャサリンとアルマシーもろとも自殺をもくろんだだジェフリーは、地上のアルマシーに向かって飛行機を突進させるが失敗。ジェフリーは絶命し、アルマシーは瀕死の重傷を負ったキャサリンを洞窟に運ぶと「必ず戻ってくる」と約束し、三日三晩、砂漠を歩き続ける。だが、ようやくたどり着いた町で彼はスパイと疑われ、護送列車から脱走したアルマシーは愛する人の命を救いたい一心で、地図をドイツ軍に売り渡し、飛行機でキャサリンの元へ急いだ。だが、時既に遅く、彼女は息絶えていた。アルマシーは彼女の亡骸を乗せ、飛行機で彼女の故国イギリスを目指して砂漠を飛び立つ。やがて、彼の機は撃墜され、彼は英国人の患者として収容されたのだった…。話を聞き終えたカラヴァッジョの胸からは、報復の決意は消えていた。やがて、アルマシーの最後を看取ったハナの心にも、死を乗り越えて存在する愛の奇跡が深く刻み込まれた。 【キネマ旬報データベースより】
原題 THE ENGLISH PATIENT
製作年 1996年
製作国
上映時間 162
公開日 1997年8月30日(土)公開
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