「Love Letter」(1995)

【DVD発売中】

77点77
“ifもしも『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』“でTVドラマでありながら日本映画監督協会新人賞を受賞した岩井俊二の劇場長編第1作。神戸に住む博子は2年前に山で亡くなったフィアンセの藤井樹宛てに、彼が昔住んでいた小樽へ手紙を出す。ところが、来るはずのない返事が博子に届く。それは、樹の中学の同級生であり同姓同名の、ただし女性の藤井樹からのものだった……。中山美穂が博子と樹の二役を熱演している。

あらすじ

神戸に住む渡辺博子は、山の遭難事故で死んでしまった恋人・藤井樹の三回忌の帰り道、彼の母・安代に誘われ、彼の家で中学の卒業アルバムを見せてもらった。その中に樹の昔の住所を発見した博子は、今は国道になってしまったというその小樽の住所に手紙を出してみることを思い付く。数日後、博子の手紙は小樽に住む藤井樹という同姓同名の女性のもとに届いていた。「拝啓、藤井樹様。お元気ですか? 私は元気です」という手紙に心当たりのない樹は、好奇心から返事を書いてみることにした。来るはずのない返事が届いたのに驚いた博子は、樹の登山仲間でガラス工房で働いている秋葉茂に事情を打ち明ける。博子に秘かな恋心を抱く秋葉は、天国の樹から返事が来たと喜んでいる博子に心を痛めるのだった。博子はさらに返事を送り、二人の間で何度かの手紙のやり取りが続いた。樹が気味悪く思い始めた頃、藤井樹本人であると証明できるものを送れという新たな手紙が樹に届く。それは博子の名をかたった秋葉の仕業だった。怒った樹は免許証の拡大コピーを送りつけ、奇妙な文通を終わらせると宣言する。同姓同名の、しかも性別の違う藤井樹の存在を知った博子は、嘘でもいいから信じていたかったと落胆した。秋葉は博子に樹への思いをふっきらせるために、小樽へ行こうと誘う。小樽に着いた博子と秋葉は樹の家を訪ねるが、彼女は留守にしていた。博子は恋人の樹が死んだことだけを隠して、ありのままに事情を説明した置き手紙を残して帰って行く。博子の手紙を読んだ樹は、中学の時に同級生に同姓同名の藤井樹という男子生徒がいたことを想い出した。博子と秋葉が小樽を発つ日、博子は街角で自分と良く似た女性と擦れ違う。何かを感じた博子は「藤井さん」と声をかけるが、一瞬振り向いた彼女の姿はすぐに雑踏の中に消えていった。しばらくして、博子と樹の間で新たな文通が始まり、樹は博子に請われるままに少年・樹との中学時代の想い出を綴っていった。同姓同名というだけで何かと冷やかされ、笑いのタネにもされ、揃って図書委員に祭りあげられたりした樹にとっては、それは決して愉快なものばかりではなかった。少年・樹は他人が読まない本ばかり借りては、図書カードに自分の名前を書いて喜んでいる少年だった。樹はそんな彼を呆れた目で見ていたのである。ある日、樹は博子に頼まれて、少年・樹が陸上部員として走っていたグラウンドの写真を撮るために母校を訪れた。樹はそこでかつての担任の先生から、彼が山で死んでいたことを聞かされる。その夜、樹はひどい高熱で倒れ、猛吹雪で救急車が到着できないことを知った樹の祖父・豪吉は、樹の父・慎吉が風邪をこじらせて死んだ時のことを思い出しながら、吹雪の中を樹をおぶって病院まで向かうのだった。その頃、博子は秋葉とともに樹が遭難した山に登ろうとしていた。博子は山に近づくにつれて次第に勇気を無くしていく。二人は途中にある、樹の登山仲間だった梶の山小屋に一泊した。明け方、熱が下がった樹は病院のベッドで目を覚ます。ちょうどその頃、秋葉から樹が遭難した山を指し示された博子は、「お元気ですか? 私は元気です」と何度も何度も山に向かって叫び、嗚咽するのであった。風邪も治り退院した樹は、少年・樹との別れを博子への手紙に綴る。三年生の冬休み、父を亡くしたばかりの樹の家を訪ねてきた少年・樹は、図書館に返しておいてくれと一冊の本を樹に預けた。新学期が始まってしばらくして、ようやく樹が登校したときには、彼はすでに転校してしまっていたのだ。それが樹の最後の想い出であった。その後の博子からの返事には、今まで樹が送った手紙が同封されていた。これは樹の想い出だから、樹が持っているべきだというのだ。数日後、樹の中学の後輩たちが一冊の本を持って彼女の家を訪れた。それは、少年・樹が転校する前に彼女に託した本だった。後輩たちに促されて図書カードの裏に目を移した樹は、そこに鉛筆で中学の頃の自分の顔が描かれているのに気付く。少年・樹の秘めた思いを知った樹は、恥ずかしそうに微笑むのだった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1995年
製作国 日本
配給 フジテレビジョン
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