「螢川」(1987)

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80点80
初恋、ケンカ、友情、そして親友の死。かつては実業家でありながら、落ちぶれて死んでいく父。母の過去、父の先妻との出会い、故郷との別れ。昭和30年代の富山を舞台に、冬から夏にかけて様々な出来事を経験していく少年の姿を描いた作品。芥川賞を受賞した宮本輝の同名小説の映画化である。ラスト、少年は初恋の少女、母、知り合いのおじさんとともに川の上流で数百万匹の螢の群れと遭遇する。このファンタスティックな光景は、彼が今まで通過してきた日常の中の感動と同次元で捉えられ、観る者の心に同一の感動を呼び起こす。また、特撮がさりげなく効果的に使われ、ドラマを盛り上げている。日本アカデミー賞撮影賞受賞。

あらすじ

昭和三十七年、真冬の富山。水島竜夫はクラスのマドンナで幼馴染の辻沢英子への恋の悩みと、高校受験をひかえて悶々とする毎日を送っていた。その頃、竜夫の家には借金取りが押しかけていた。傾いた玄関から男たちを乱暴に押し出す父・水島重竜。童竜は終戦後、手広く事業をやり、町の人から仁王竜と呼ばれるほど羽振りをきかせていたが、豪放な性格ゆえ失敗、今はその頃の威勢は既になく借金取りに追われる日々である。妻の千代はかつて売れッ子の芸者で、重竜がまだ羽振りのいい頃結ばれ、竜夫を身篭もった。初めて自分の子を待った重竜は何の罪もない女房の春枝を棄て、千代と結婚したのだった。その一粒種、竜夫はもう14歳だった。幼い頃、竜夫と英子はそんな重竜から聞かされた、4月に大雪の降った年は川の上流で信じられないような蛍の大群が発生し、その光景を一緒に見た男女は結婚しなければならない運命にあるという伝承をよく覚えていた。重竜が脳出血で倒れた。父の入院による新たなる借金、看病、そしてつのってくる英子への思い。竜夫は少しずつ大人の世界へ足を踏み入れつつあるのを感じる。4月に大雪が降り、春がやってくる。満開の桜が咲き散る頃、竜夫はふたつの死と遭遇しなければならなかった。英子に思いを寄せている親友の関根圭太が川で水死、病床の父も死んだ。一人息子を失った圭太の父は気が狂い入院した。そして千代の大阪に住む兄は執拗に上阪して自分の事業を手伝うように勧めた。重竜の葬儀には先妻の春枝もやってきて、竜夫への助力を申し出た。やがて初夏、竜夫は父の遺言に従って、重竜の旧友だった大森亀太郎を訪ね、何の効力もない手形を割ってもらった。初夏は蛍の季節でもある。重竜の知り合いの銀蔵は今年こそ蛍の大群が見られると張り切り、竜夫、英子、千代を連れて、川の上流に向かった。夕暮れ、目的の土地に辿り着くと、信じられないような数百万匹の蛍が、川を埋めつくしていた。その蟹の光の中で、竜夫と英子はいつまでもはしゃぎ続けるのだった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1987年
製作国 日本
配給 キネマ東京=日映
上映時間 115
カテゴリ 人間ドラマ
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