「ヴィタール」(2004)

【DVD発売中】

57点57
『双生児』で、ほんの一瞬顔を合わせていた塚本晋也監督と浅野忠信がついに本格的にコラボレーション。交通事故で記憶喪失に陥った医学生が、恋人の遺体を解剖しながら“取り戻す“何かを凝視する。浅野の深遠な無表情の彼方に、神秘的な映画体験が待ち受ける塚本の新展開から目が離せない。

あらすじ

医学生の高木博史(浅野忠信)は、交通事故からかろうじて一命を取り留めるが、父・隆二(串田和美)や母・慎子(りりィ)の顔さえ分からず、すべての記憶を失っていた。自分が一体誰なのか、どこにいるのか……。居場所のない自分を抱えてさまよい始める博史だったが、なぜか医学書にだけは興味を示し、大学の医学部に入学する。2年生の必須科目である解剖実習が始まり、博史の班に若い女性の遺体が割りあてられた。記憶の空白を埋めるかのように解剖にのめり込んでいく博史は、解剖を続けるにつれ、現実とは異なる世界へとフラッシュしていく。それは、左腕に刺青のある涼子(柄本奈美)という女性と自分が一緒に過ごす、甘く切ない記憶を超えた映像だった。一方、実習室では、博史へのもうひとつの強い感情がうずまいていた。同級生の吉本郁美(KIKI)は、かつて恋愛関係にあった中井教諭(利重剛)を自殺させた原因が自分にあるという思いを抱え、博史に同じ“死”の臭いを感じて接近する。しかし、博史はまるで現実感がない。博史の見る映像はじょじょに鮮明になり、彼は、もうひとつの世界で涼子がダンスを踊ったことを、涼子の父・大山三郎(國村隼)と母・のり子(木野花)に報告しはじめる。同級生のがさつな解剖のやり方に耐えられなくなり、自分の班の遺体をひとりで担当したいと、博史は、柏淵教授(岸部一徳)に申し出る。そして、その肉体を愛するかように解剖を続けていく。もう一つの世界が確かなリアリティを持ちはじめ、博史は現実を次第に見失い、様相は死体さながらになってゆく。ある日の実習で、遺体の左腕に涼子と同じ刺青を見つけた博史は、それが彼女だと確信する。恋人同士だったふたりは博史の運転する車に乗っていた時に事故に遭い、涼子は今際の際に遺言として“献体”を申し出、博史に解剖されることを望んで死んでいったのだ。博史はもう一つの世界で涼子と共に生きることを決めるが、目が覚めると涼子の姿はなかった……。やがて4ヶ月間に渡る解剖実習は終了し、博史たち遺された者が見守る中、涼子の遺体は荼毘に付されるのだった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 2004年
製作国 日本
配給 ゼアリズ=海獣シアター
上映時間 86
公開日 2004年12月11日(土)公開
カテゴリ 人間ドラマ
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