「でらしね」(2002)

【DVD発売中】

35点35
奥田瑛二が自ら絵筆をとり、放浪画家の心身を体現した意欲作。才能も技術もありながら、ホームレス生活を送る主人公が、画商の女に請われ、やがて彼女をモデルに自分と絵に向き合っていく様が描かれる。『六月の蛇』の黒沢あすかの堂々としたヒロインの風情も強く印象に残る、真剣な愛の物語だ。

あらすじ

水木譲司(奥田瑛二)は、ホームレスの画家である。社会から見捨てられ、妻子に逃げられて路上生活者になったのである。毎日ダンボールの紙片を抱えて歩き回り、何枚かの絵を描いて帰ってくる。粗末な画材で描くものは「タバコの吸い殻」「電信柱」「酒瓶」「道端のゴミ」「ビル群」など、地味な題材ばかりだ。ホームレス仲間のアカちゃん(三谷昇)とキイちゃん(田鍋謙一郎)が、譲司の絵を一枚五百円で売って、三人で路上生活をしている。そんな彼らの前に、ハイヒールにスーツ姿の橘今日子(黒沢あすか)と名乗る女性が現れ、譲司のダンボール絵を毎日一枚だけ買っていく。ある日、譲司に向かって今日子が意外なことを言い出した。「あなたの絵が気に入ったの。お金を差し上げますから大作を書いて欲しい」。今日子は、岡本画廊で働くバイヤーであった。彼女はオーナーの岡本光太郎(益岡徹)から独立して、自分の画廊を出す野望があったのだ。そのために自分で見いだした譲司の才能が必要だった。しかし高慢な女の態度に、譲司はにべもなくその申し出を断った。「俺はそんな気はないね…お帰り下さい」。残念がるアカちゃんとキイちゃんだが、譲司は頑なに拒むばかり。そんな日々の中、酒に溺れる譲司の肉体は、確実に蝕まれていった。譲司の肉体は重い病に冒されていた…。彼は美術大学時代から、その天才的な能力を評価されてきた男だった。しかし、譲司のモデルとなった女性が自殺するという悲劇が起きてから、譲司はまったく絵が描けなくなってしまったのである。就職してサラリーマンになっても、絵を忘れることはできなかった。酒と女に溺れるなか、フラリと入った画廊で河鍋暁斎の「枯木寒鴉図」を見て、譲司は激しいショックを受ける。酒を浴びるほど呑み、フラフラと潜り込んだ工事現場で、そこにあったペンキと筆で、譲司は板切れに描き始めた。再び絵が描けるようになり、今に至っている。譲司が発作に襲われ病院に担ぎ込まれた夜、アカちゃんに呼ばれて駆けつけた今日子は、病院の支払いを済ませると、大作を描くことを譲司に迫る。自分の死期を悟った譲司は今日子が用意した山奥の山荘で、絵を描き始めた。それが譲司に残された最後の選択だった。しかし「自分の絵」はなかなか戻ってこない。自然に向かい合って描こうとしても、自己の矮小さに負けてしまう。酒に逃げる日々が続いたが、譲司はついに自分のテーマを再発見することになる。封印したはずの「女」を描く。泊まり込んでいた今日子の部屋のドアを叩いて譲司は叫ぶ。「君の裸が描きたい」。鬼気迫る譲司の熱意に、今日子はゆっくりと頷く。今日子の裸身をテーマに、譲司は狂ったように描き始めた……。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 2002年
製作国 日本
配給 メディアボックス=ライズピクチャーズ=ルートピクチャーズ
上映時間 94
公開日 2004年11月27日(土)公開
カテゴリ ラブ・ストーリー
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