「薄桜記」(1959)

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72点72
五味康祐の新聞連載小説を市川雷蔵主演で映画化した正統派時代劇の名作。丹下典膳は留守中最愛の妻が、知心派の5人組に犯されたことを知り苦難の末、5人を捜し出し復讐を果たすが、自らも傷つき妻とともに果てる。この典膳と、勝新太郎扮する中山安兵衛との交友を絡ませ、二人の剣士の明暗を赤穂浪士の討ち入りを背景に映し出した内容になっている。森一生の重厚な演出と本多省三の華麗なカメラワークが、非業の最期を遂げた剣豪・丹下典膳の半生を浮き彫りにする。特にラスト、片手片足に深傷を負い戸板に寝かされながら、多数の敵と必死に闘う丹下典膳のデカダンスな美しさは筆舌につくしがたいものがある。丹下典膳に扮した市川雷蔵が素晴らしい演技をみせ、彼の代表作となった。

あらすじ

中山安兵衛が高田の馬場へ伯父の決闘の助勢に駆けつける途中、すれちがった旗本丹下典膳は安兵衛の襷の結び目が解けかけているのに気づいた。かけつけたが、安兵衛の決闘の相手が同門知心流であることを知ると、典膳はその場を離れた。堀部弥兵衛親娘の助けを得た安兵衛は仇を倒した。一方、同門を見棄てた典膳は堀内一刀流の安兵衛へ決闘を迫られたが、拒絶した典膳を師匠の知心斎は破門した。安兵衛も師匠堀内源太左衛門の心を察して道場から遠のいた。源太左衛門の紹介で上杉家江戸家老千坂兵部の名代長尾竜之進が安兵衛に仕官の口を持って来た。安兵衛はその妹千春に心をひかれた。谷中へ墓参の途中、野犬に襲われた千春は典膳に救われたが、生類殺害の罪で役人にとがめられた二人を救ったのは安兵衛だった。千春が典膳と恋仲であり祝言も近いことを知った安兵衛は上杉家への仕官を断り、堀部弥兵衛の娘お幸の婿になって播州浅野家に仕える運命になった。典膳が公用で旅立った後の一夜、典膳に恨みをもつ知心流の門弟五人が丹下邸に乱入し、思うさま千春を凌辱して引揚げた。間もなく千春が安兵衛と密通しているという噂が伝えられた。旅先より戻った典膳は事の真相を掴み、親戚一同を集めて妻の無罪を訴えた。浪人となって五人組に復讐する決意をした典膳は、長尾家を訪れ千春を離別する旨を伝えた。怒った竜之進は抜討に典膳の片腕を斬り落した。しかしこれは典膳の意図するところだった。同じ日、安兵衛の主人浅野内匠頭は上杉家当主の実父吉良上野介を、江戸城松の廊下で刃傷に及んだが、その日を限りに典膳は消息を絶った。−−一年たった。同志とともに吉良襲撃を志して辛苦する浪人安兵衛は、或る日、吉良の茶の相手をつとめる女を尾行して、それが千春であることを知って驚いた。典膳と別れた千春は千坂兵部の世話で自活していた。典膳も兵部の好意で米沢で療養していたが、兵部の手引きで吉良家に迎えられることになった。二人が江戸に戻ると同時に兵部の死が伝えられた。知心流五人組を斬った後、典膳は吉良の附人となり、赤穂浪士と戦う決意をした。一方安兵衛らの計画も進み、吉良が催す茶会の日取りを確かめるだけになった。この頃、典膳が江戸にいることを知った五人組の生残り二人は典膳を襲った。典膳は来合せた千春に救われ、七面山のかくれ家に運ばれたが、二人組は吉良邸から加勢を得て七面山に向った。一行は同門典膳の知心流の妙技に倒れたが、千春も一行の放つ銃弾に倒れた。折しも、千春を尋ねて安兵衛が七面山にたどり着いた。斬りまくる安兵衛に千春は吉良家の茶会は明十四日夜と告げると、典膳と相寄って果てた。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1959年
製作国 日本
配給 大映=大映京都
上映時間 110
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